「日本人ファーストって何ですか」「人間にファーストもセカンドもないんですよ!」――。
投開票日を翌日に控えた19日午後6時過ぎのJR新宿駅東南口前広場。
外国人憎悪が吹き荒れた今回の選挙戦で、ラサール氏は「平和と暮らし」を掲げる社民党らしく、愚直に「反差別」「戦争反対」「消費税廃止」の主張を展開。熱の入った街宣を繰り返すうち「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の主人公・両津勘吉の声優として鍛えた自慢のノドも、選挙最終盤にはすっかり潰れた。それでも必死にマイクを握り続ける姿に涙を流す人もいた。
社民党は公選法上の政党要件維持が危うく、得票率2%を超えるかどうかが焦点だった。党首の福島みずほ参院議員はきのうの開票直後、インターネット配信向けの取材で「最低1議席は確保し、政党要件(である)2%も獲得したい」と意気込んだ。政党要件を失えば、次期衆院選で小選挙区と比例代表の重複立候補ができなくなり、ポスターの枚数や選挙カーの台数も減らされる。
護憲や平和を訴えてきた社民党の存続に危機感を抱いたラサール氏は「なくなってはいけない」と自身の知名度を活かしてひと肌脱ぎ、見事に初当選。けさ未明に「当確」が判明した。
改選前の1議席を死守し、得票率2%を獲得して政党としての存立危機は脱したものの、社民候補者の中で唯一の現職だった副党首の大椿ゆうこ氏は落選。沖縄平和運動センター議長の山城博治氏も及ばなかった。