終盤に入った参院選(20日投開票)は排外主義的キャッチコピー「日本人ファースト」を掲げる参政党が台風の目となり、情勢が読みづらい展開だ。参政は全45選挙区に候補者を立て、比例代表を含む計55人を擁立。

「数は力」とばかりに勢いを増し、複数区の東京(改選数6+補選1)で当選圏内に入ったほか、大阪(改選数4)や埼玉(改選数4)でもリード。神奈川(改選数4)でもいわくつきの初鹿野裕樹候補(48)が善戦している。


 選挙公報やブログなどによると、初鹿野氏は東海大体育学部卒。名門の柔道部で鍛え上げて警視庁に入り、代表選手として活動したほか、警務部教養課に勤務。2022年末に依願退職するまで、SAT(特殊部隊)や要人警護を担うSPら警官1万人の指導にあたったという。23年4月の葉山町議選(定数14)に無所属で出馬して落選。昨秋の衆院選では参政党公認で小泉農相のお膝元の神奈川11区に立ち、大敗を喫した。


 そして迎えた参院選。2度目の国政挑戦では序盤から舌禍を引き起こした。第一声で「外国人は生活保護を受給する権利がないにもかかわらず保護という観点で(支給され)、日本人はなかなか受給できないのに、外国人はすぐさまもらえてしまう」と演説。神奈川新聞が判例や統計に基づき「ヘイトスピーチ」と報じると、SNSなどで「偏向報道」と抗議。


「沢山の仲間が共産党員により殺害され、殺害方法も残虐であり、今だに(ママ)恐怖心が拭えません」とSNSで中傷された共産党も激怒し、神奈川県連が撤回と謝罪を求める騒ぎになっている。

応じない場合は法的手段も辞さない構えだ。


「政治を志して警視庁を辞めたと本人は言っていますが、マユツバです。機動隊在籍時に小隊で集めた会費を横領したことが判明。捜査着手直前に依願退職を促され、それに応じて退職金で弁済した。それが事の顛末で、半ば公然の秘密です」(警視庁事情通)



直撃に「警視総監賞もらった!」

 15日、横浜市内で街頭演説を終えた初鹿野氏を直撃。入党した経緯などを確認していると、陣営スタッフの男性が割り込み、「許可取ってますか? 党本部から県連の広報を通すように言われてるんですよ」と質問を遮って初鹿野氏の肩に手を回し、強引に遠ざけようとした。やむなく、「横領で依願退職を余儀なくされたというのは事実ですか」と声を張ると、初鹿野氏は「面白いですね、それ。誰が言ったんですか?」と反応。踵を返そうとしたもののスタッフに阻止され、「でも警視総監賞もらってるんですよ!」という叫び声が響き渡った。


 スタッフの指示通り、県連に質問状をメールすると、横領疑惑に関しては「事実ではありません」との回答があった。


 神奈川では自民党の新人と立憲民主党の現職が抜け出し、公明党現職と国民民主党新人、初鹿野氏が熾烈な3番手、4番手争いを繰り広げている。選挙戦は残り4日だ。


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 参院選で、神奈川や東京などの大都市を中心に支持を集めているとされる参政党。実は都市部以外でも、支持拡大を狙っている。その戦略とは? 【関連記事】参政党の躍進は東京、神奈川だけにあらず? 地方では外国人規制に“地元ネタ”織り込み支持拡大狙いで詳報している。


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