政府は15日の閣議で2025年版防衛白書を了承した。白書で中谷元防衛大臣は「人は石垣、人は城」との表現を用い「防衛省・自衛隊は人間集団であり、人によって動く組織であり、自衛隊員一人ひとりが防衛力の最大の基盤」と強調。


 そのため「自衛隊員の安定的な確保が至上命題」とし「自衛隊員が国防という国家にとって極めて枢要な任務に、誇りと名誉、高い使命感を持って専念できる体制を整えることが不可欠」と記した。


 中谷大臣は「総理のリーダーシップの下、自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議を開催し、そこで取りまとめられた基本方針も踏まえ、 必要な施策を速やかに実施している。いわば防衛力そのものである防衛生産・技術基盤の強化は必要不可欠で、防衛生産基盤強化法などにより、その強化に向けた施策を引き続き力強く進めていく」との考えを明示した。


 また中谷大臣は「中国は国防費を急速に増加させ、軍事力の質・量を広範かつ急速に強化し、尖閣諸島周辺を含む東シナ海や太平洋などでの活動を活発化させている。北朝鮮は大量破壊兵器や弾道ミサイルなどの増強に集中的に取り組み、弾道ミサイルなどの発射を強行している。ロシアはウクライナ侵略を継続するとともに、北方領土を含む地域での活発な軍事活動を継続しており、中国と共同での航空機や艦艇の活動も確認されている」と中国、北朝鮮、ロシアの動きを特に記載。


 そのうえで「日本の防衛力の抜本的強化を推進。具体的にはスタンド・オフ防衛能力や統合防空ミサイル防衛能力といった将来の中核となる能力を強化するとともに、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能の強化に取り組んでいる。機動展開能力や持続性・強靱性の強化も重要で、装備品の可動率向上や弾薬・燃料の確保、防衛施設の強靱化への投資を加速している」と防衛力強化の必要性を訴え、国民に理解を求める内容になっている。(編集担当:森高龍二)

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