自民党の二階俊博元幹事長の三男・伸康候補と、世耕弘成前参院幹事長に近い前有田市長の望月良男候補(無所属)が争う、保守分裂の参院選和歌山選挙区。終盤戦に入り、両陣営の“ドン”が姿を現して、血みどろの激戦と化している。
二階派に所属した鶴保庸介参院議員(和歌山選出)の「運のいいことに能登で地震があった」の舌禍で、二階陣営は失速。さらに追い打ちをかけるように、ついに世耕氏が9日、望月の個人演説会へ応援に駆けつけた。
「世耕さんは陰で望月さんを支援し続けていたのですが、周囲の要望もあり“ステルス戦略”を転換したようです。望月陣営によると、選挙戦終盤は毎日のように応援に入る予定です」(地元政界関係者)
世耕氏は自身のXでも鶴保氏の舌禍を攻撃するなど、攻勢を強めている。
■劣勢の信康陣営はパンダと同情票が頼みの綱
劣勢に立つ伸康陣営も10日、これまで表に出なかった父・二階氏が街頭演説会に姿を現した。
「世襲批判を恐れたのか、二階さんは徹底して姿を見せませんでした。表に出るのは終盤だけと聞いていたのですが、陣営にも焦りがあるのでしょう」(県政担当記者)
これでもはや「代理戦争」ではなく、二階vs世耕の直接対決の様相となった。
伸康陣営にとって、盛り返しを図る作戦は限られている。そのひとつがパンダだ。和歌山市内のレンタカー会社店主は「ウチで車を借りる人の8割が南紀地方に向かい、その半分が白浜町のパンダを見に行っていた。パンダ返還は県全体の産業にも影響する」と話す。「パンダを再び和歌山に!」と訴える伸康氏は、少なからず集票が期待できそうだ。
伸康氏は有権者への同情作戦も徹底している。
「昨秋の衆院選で世耕さんに惨敗した伸康さんは、街頭演説でその反省を口にするようにしています。辻立ちもなるべく1人で行い、腰を目いっぱい低くして、大きく両手を振る。4月に亡くなった故・岸本周平前知事から、こうした低姿勢での選挙運動をレクチャーされたそうです」(前出の県政担当記者)
伸康が巻き返せなければ「二階王国」はいよいよ滅亡だ。
◇ ◇ ◇
自民党の鶴保庸介参院議員(和歌山選出)が8日、参院選和歌山選挙区の応援演説で「運のいいことに能登で地震があった」などと発言し、大炎上。ただでさえ苦戦している自民公認の二階伸康候補は、一気に赤信号がともっている。●関連記事【もっと読む】『自民・鶴保失言「運のいいことに地震」で苦戦の二階ジュニアに赤信号…参院選“仁義なき紀州戦争”決着か』で詳報している。