英BBC放送に「日本人ファーストの極右政党が躍進」と報じられた参政党の伸長は、ひと言でいうと世も末だ。
参院選の投開票から一夜明けた21日、神谷宗幣代表と当選者らは東京・新橋駅前で街頭演説。
排外主義的ポピュリスト集団は、17日間の選挙戦で数えられないほどのヘイトを吐き散らかした。
神谷代表が第一声で「子どもを産めるのは若い女性しかいない。これを言うと〈差別だ〉と言う人がいるが、現実だ」と暴言をかましたのを皮切りに、お世辞にも中学生レベルとも言えない憲法草案への批判について「あほうだ、バカだ、チョンだとバカにされる」と発言。
参政陣営の街宣にカウンターが集まり、地声で抗議の声を上げるのは当然なのだが、候補者は口をそろえて「選挙妨害だ」とデタラメで抑え込もうとし、「非国民」と罵るヤカラまでいた。
■当初から報じたのはTBS系「報道特集」や神奈川新聞くらい
街宣車に乗ったウグイス嬢がカウンターに向かって「ニッポンが嫌ならばニッポンから出ていけばいいじゃないですか。ここはニッポンでございます」と叫んだ問題もあった。参政の面々が良識の府にふさわしいとは断じて言えまい。
こうした実態を当初から報じたのはTBS系「報道特集」や神奈川新聞くらい。
カルト問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう言う。
「昨秋の衆院選と比べれば、神谷氏の暴言や参政党のカルト性に関する大手メディアの報道が増えた印象です。ファクトチェックも定着してきた。ただ、十分かと言えば疑問は残る。例えば統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる問題は、銃撃事件が起こるまで見過ごされてきた。参政党は反ワクチン、陰謀論、スピリチュアル系など有象無象の寄せ集めで、あらゆる面でストッパーがない集団です。既成政党の一部にも懸念はあるものの、参政党は別格で奇行が目立つ。メディアが批判的視点を持って継続して報道しなければ、社会の底が抜けてしまう怖さがある」
立憲民主党の小川淳也幹事長は開票特番で、国民民主党や参政党を念頭に「他の野党に対して懐深く、謙虚に、さまざまな呼びかけ、交渉、協議を持ちかけていく」といっていたが、だいぶおめでたい。日本維新の会から公示前に滑り込み入党した参政党の梅村みずほ議員がX(旧ツイッター)に〈立憲民主党が政権を取れば日本民族は原住民化するでしょう〉と投稿したのを知っているのか。そもそも「原住民化」って何なのか。民度を軽く見ているのは、どこの誰か。
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今回の参院選では旧安倍派の「裏金候補」15人が有権者の審判を受けた。開票結果はナント、10勝5敗の勝ち越しに。●関連記事【もっと読む】『自民旧安倍派「裏金候補」15人の当落は「10勝5敗」の勝ち越し…外国人政策の陰に隠れた「政治とカネ」』で詳報している。