【芸能界クロスロード】


 クライアントも戻り始め、CMも正常になりつつある新生フジテレビ。


 後はどう変わるのか、どう変えていくのか? 社内改革が問われているが、視聴者に分かりやすい改革は番組だ。

面白いコンテンツを提供することによって、視聴者を取り戻せるかが今後の課題。


 近年のフジはかつての栄光は消え低迷が続いている。上を目指すどころか、テレ東と下位争いが定位置。ニュース、バラエティー、ドラマと話題にすらならない。7月期のドラマも、「従来のドラマ枠をなんとか埋めただけ」とさえ感じる。木村文乃主演の「愛の、がっこう。」は初回4.7%。ホスト役は“Snow Man”のラウール。まさに適役だが、高校教師とホストの物語では、「どんな内容だろう」というワクワク感はゼロ。


“月9”は福原遥主演の「明日はもっと、いい日になる」。1話は7.1%、2話では6.4%と下がった。磯村勇斗主演の学園ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」は初回から4%台とお先真っ暗な数字。福原も磯村も脇で存在感を放つ俳優。

主役では視聴者の食いつきも悪い。


 阿部サダヲと松たか子のダブル主演ドラマのテレビ朝日、松本潤を「日曜劇場」に起用したTBSとは明らかに見劣る。もっとも、フジが中居(正広)問題で揺れていた時期に企画、制作に入ったドラマ。「出演を躊躇する俳優もいた」という側面もあった。真の番組改革は新体制になって準備に入っている秋の番組改編期にある。


 一方、早々に改革第1弾が発表されたのは、午後の時間帯。ドラマ再放送に代わり関西テレビ制作の「旬感LIVEとれたてっ!」を放送する。フジ制作でないのはまだ自信のない表れかもしれないが、いい枠を狙ってきたとも言える。現在、2時台は読売テレビの「ミヤネ屋」、名古屋CBC制作の「ゴゴスマ」が覇権争いをしている枠。“とれたてっ!”もカンテレ制作で放送中の番組をフジがネットで受ける形。


 かつて東京キー局が競っていたワイドショーの時代は終わり、関西・中京で制作している。


「昔のように芸能人を直撃したりする体力は今の東京のキー局にはない。

地方局から受ければ制作費もかからないし、ドラマの再放送より数字を取れる可能性もある」(民放関係者)


 放送内容も日々のニュースを中心にしている。差がつくポイントは司会者とコメンテーターのスタジオトーク力。好調続く「羽鳥慎一モーニングショー」は羽鳥の司会力と玉川徹を中心にした解説力が好調の要因のひとつ。


“とれたてっ!”の司会は5年前に日本テレビを辞めフリーになった青木源太。日替わりパネリストはハイヒール・リンゴ、小籔千豊と関西芸人が務めているが、「自分の意見をズバッと言う」と評判はいい。迎え撃つ最近の「ミヤネ屋」も「ゴゴスマ」も連日、お天気ショー番組と化している。異常気象は関心事ではあるが、連日、詳細に解説するだけの必要があるのだろうか?(羽鳥の番組ではやらない)「他にやる企画がないから天気で時間を潰している」としか思えない。両番組の最大の弱点である。


 爽やかな青木の司会と芸人の毒舌、斬新な企画があれば勝算もある。さらに、接待要員にされていた元フジの女子アナを起用すれば話題性も十分。弁護士、司会、タレントと人材は豊富に揃っている。


(二田一比古/ジャーナリスト)


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