《あっ、また出てる》


 そんな印象を持つ人も多いのでは。俳優の矢本悠馬(34=写真)の話。

現在放送中の當真あみ(18)主演の連ドラ「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系=水曜夜10時)に“肉まんくん”こと西田優征役で出演中だ。今期、地上波連ドラはこれだけではない。池田エライザ(29)主演の「舟を編む ~私、辞書つくります~」(NHK=火曜夜10時) 、横浜流星(28)主演のNHK大河ドラマ「べらぼう」にも重要な役で出演しているのだ。まさに売れっ子である。


「特に『べらぼう』の旗本・佐野政言役は素晴らしかった。改めて矢本さんの演技に魅せられた人は多いのではないでしょうか。認知症の父を相手に言葉を交わすシーン。切なさとやり切れなさ、つらさがごちゃ混ぜになった感情を無理やり押し込めた、あの笑顔。視聴者が胸をぐっと掴まれたシーンだったと思います」と、ドラマウオッチャーで芸能ライターの山下真夏氏は言う。


 残念ながら「べらぼう」では7月27日放送回で“切腹”してしまったが、ここ数年、映画、ドラマなど、とにかく出ずっぱりの印象だ。デビューは子役で、2003年公開の映画「ぼくんち」。その後、一時は芸能活動を休止したが、2011年から芸能活動を再開させている。


「2014年の錦戸亮さん主演の連ドラ『ごめんね青春!』(TBS系)の生徒・古井役でその存在をしっかり認識した視聴者が多いかもしれませんね。ただ割と最近まで《矢本悠馬と〇〇は似てる》《誰かに似ている俳優》などと話題になりがちで、検索サイトによっては《矢本悠馬》と入れると《似てる》というサジェストワードが上位に来るほどです」(テレビ誌ライター)


 森永悠希(29)や仲野太賀(32)に《似てる》という声が多いようだが、前出の山下真夏氏は「2016年放送の岡田将生さん主演の連ドラ『ゆとりですがなにか』(日テレ系)に矢本さんと仲野さんが出演していた際には、《2人、似てるな》と私も思ってました」と笑いながら、こう続ける。


「今はまったく似ていないと思いますけど。矢本さんはコメディーセンスが抜群で、どことなくチャラっと軽いイマドキのお兄ちゃんという役柄が抜群に似合う印象が強かった。ただ『べらぼう』『舟を編む』ではそれだけではない、演技派として誰もが認めたくなるようないいお芝居をされています。今はもう誰かと《見分けがつかない》なんて視聴者もほぼいないでしょう」


 最近はどのドラマに出ても《さすがは矢本悠馬》《演技うまい》といった称賛の声が確実に増えている矢本は、2023年12月31日に長年所属していたソニー・ミュージックアーティスツを退社し、2024年1月にCHARACTERという事務所を設立している。独立後も出演作は引きも切らない。


「もちろん実力があってこそですが、独立すると安いギャラで仕事を受けてくれたりする。矢本さん人気はそれもあって、結果、演技に磨きがかかっているのかも。私生活でも明るくノリのいいキャラのようですから、直接仕事を頼む際も言い出しやすそうですしね。お願いしやすいというのも業界では大事なことですから」(ドラマ制作会社スタッフ)


 独立で失敗する芸能人も多いが、10月24日公開予定の映画「愚か者の身分」にも出演する矢本。コメディーからシリアスまで“覚醒”した感があるが、今後ますます芸の幅が広がっていきそうだ。


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 どうにも視聴率がパッとしないNHK大河「べらぼう」。関連記事【もっと読む】横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ…では、悩める大河ドラマの現在地について伝えている。


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