「石破おろし」が本格化するのか──。注目された自民党の両院議員総会が8日、党本部で開かれ、続投表明した石破首相への批判が続出。

しかし、実際は大したことが決まらず、「会議は踊る、されど進まず」状態だった。


 総会では、党則に基づく総裁選の前倒しを求める声が相次ぎ、総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)に判断を一任することが決まっただけ。総裁選の前倒し開催には、党所属国会議員(衆参295人=衆参議長除く)と47都道府県連の代表各1人の総数のうち、過半数の賛同が必要だ。総会に参加した反石破の議員は「総裁選実施に一歩前進だ」と意気込んだが、会合自体にはそこまでの熱気はなかったようだ。


■「裏金議員のケジメが先だ」の声


「石破さんへの退陣要求が続出した7月28日の両院議員懇談会と比べて、総会は明らかに落ち着いた雰囲気でした。懇談会は予定の2時間を大幅に超えて4時間半にも及びましたが、この日の総会は予定通り2時間で終了。しかも、1時間もしないうちに会場を後にする議員が続出しました。懇談会では参院選で落選した議員も出席し、ブーイングが上がりましたが、彼らは総会では不在。それもあって、あまり揉めなかったそう。まあ、不発ですね」(官邸事情通)


 さらに、懇談会では64人が発言し、大半が退陣を要求。「ただちに退陣せよ」という厳しい声もあったが、総会での発言者は35人とほぼ半減。うち、総裁選の前倒し実施を求めたのは十数人で、即座に退陣を求める意見はナシ。

逆に、5人程度が石破続投を要求。「総裁選よりも裏金議員のケジメが先だ」との声に加え、「トランプ関税が混迷するさなかに日本の総理の顔を代えては、交渉が停滞しかねない」という冷静な意見も上がった。


 総会で石破続投を訴えた鈴木宗男参議院議員(77)は、日刊ゲンダイにこう話した。


「総会では、選挙で負けた最大の要因は裏金議員だと、ケジメがついていないと発言した。他にも何名かの方が『裏金議員の存在が尾を引いている』と言っていました。一方、『総裁選をやれ』と言う議員は徒党を組んでいるように見えた。数(の力)で。ただ、総裁選をやれといっても、選挙管理委員会がどうするか決めていないから、まだ何も分かりません」


■国会議員も“反石破”に及び腰


 今後の焦点は、総裁選前倒しに必要な過半数の賛同が得られるか否かだ。


「まず、都道府県連の意向確認はそう簡単にはいかない。所属する地方議員の意見集約に時間を要するからです。そもそも、地方議員の多くは裏金問題と何の関係もないのに、有権者から突き上げられて疲弊しています。『石破退陣より裏金の総括が先だ』と考えている向きも少なくありません」(自民党関係者)


 さらに、石破首相の地方人気はいまだ根強い。


「『反石破』の動きが拡大するかは微妙です。国会議員だって明らかにトーンダウンしている。『ポスト石破』候補の高市早苗前経済安保相や小泉進次郎農相では不安があるから、及び腰になっているのでしょう。過半数に達するかは不透明です」(永田町関係者)


 このまま「石破おろし」は尻すぼみとなるのか。石破首相は内心ニンマリかもしれない。


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