受理された告訴の行方はーー。今年1月に自殺した竹内英明元兵庫県議の妻が8日に会見を開き、NHK党の立花孝志党首を名誉毀損の疑いで兵庫県警に刑事告訴したと明らかにした一件だ。
告訴状によると、立花氏は竹内氏について、昨年12月の街頭演説で「警察の取り調べを受けている」などと発言し、死亡した翌日には、自身が投稿した動画で「明日逮捕される予定だったそうです」と述べるなど、虚偽の発言や投稿で名誉を傷つけたとしている。
竹内氏は兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑を調査する百条委員会で、委員を務めていた。昨年11月、兵庫県知事選に立候補していた立花氏が街頭演説などで「竹内県議は斎藤知事が嫌いだからありもしない噂話をつくった」などと発言。竹内氏は「黒幕」として名指しされ、苛烈な誹謗中傷を受けて同月に議員辞職していた。妻は「いわれのない誹謗中傷を受けたことが、被害者(竹内氏)の自殺の主たる原因となったことは明らか」と訴えた。
「立花氏の一連の言動は、県警に対する名誉毀損である」
立花氏の捜査はどのように進められるのか。元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏はこう話す。
「今後、立花氏は事情聴取を受けることになります。少なくとも、『竹内氏が逮捕される予定だった』といった発言は、当時の県警本部長が『全くの事実無根』だとし、明確な虚偽の発言だったと否定しています。発信した内容について、真実であると信ずるに足る正当な理由や根拠があるのか、つまり『真実相当性』を証明できれば罪に問われませんが、ハードルは高いでしょう。もちろん、立花氏が初めから虚偽とわかっていながら発信していれば、有罪になります。さらに、竹内氏の妻もまた誹謗中傷を受けており、こちらも名誉毀損の対象として捜査が進められると考えられます」
今回の事案は、その特殊性から立花氏に厳しい捜査が予想されるという。
「立花氏の一連の言動はある意味、県警に対する名誉毀損であるともいえます。捜査情報という、センシティブなことを好き勝手に利用されてしまえば、警察としても国民の信頼を損ねることにつながりかねない。県警が『事実無根』だと個別の事案に言及する異例の対応を取ったのは、虚偽情報の拡散を許さないとアピールする側面もあったと思います。今回は県警も、力を入れて捜査するのではないでしょうか」(若狭勝氏)
立花氏はどう弁解していくつもりなのか。
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「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が突然、ナタを持った男に襲われた。●関連記事【もっと読む】『立花孝志氏が襲撃される瞬間を日刊ゲンダイが目撃し激写! ナタで切りつけられる一部始終』では、写真付きで詳報している。