「秘密のストレス共有バラエティ め組の園」(TBS系=7月15日スタート)が面白い。令和の時代に抱える“ストレスあるある”をコントVTRで再現し、共有して笑い飛ばすことで日々の不満を解消してスッキリしようというバラエティーだ。
初回は、「不機嫌ハラスメント夫」「ハラスメントおびえすぎ上司」「モバイルオーダーを押し付ける上司」の3本立て。どれも現代的な悩みだが、とくにモバイルオーダーのエピソードには共感を覚えた。
上司を演じるマシンガンズの滝沢秀一と西堀亮、トム・ブラウンのみちおの3人が、部下役の俳優・加藤諒と居酒屋にやってくる。ふと見ると、卓上のボードにQRコードの表示が。「最近はやりの……」と顔をしかめる上司たち。
すると、西堀が「若いからいけるだろ、こういうの。な?」と加藤にほほ笑む。加藤は快く引き受けスマホでオーダー画面を開くのだが、適当なノリで注文の数が変わり、「友だち登録の割引」や「口コミ投稿のデザート追加サービス」までせがまれて鬱憤がピークに。そこで、「全部任せてんじゃねぇ!」「こういうお店の特製スイーツは、小っちぇ小っちぇわらび餅が相場って決まってんだよ!」などと吠える展開だ。
続く第2回も「コンビニに出没するストレス客」「インスタバズりたい美容師へのストレス」と身近なシチュエーション2本でさまざまなエピソードを再現。スタジオでコントVTRを見たダイアン・津田篤宏は、たびたび“ストレスを与える側”に共感すると本音をポロリ。“みちょぱ”こと池田美優ら共演者たちから非難され、タジタジになる姿がやたらおかしかった。
「め組の園」の演出は、昨年日本テレビを退社した安島隆氏。筆者は番組を見て、すぐに安島氏が過去に手掛けた『コレってアリですか?』(日本テレビ系。2010年~2011年放送終了)を想起した。番組フォーマットが似ていたからだ。
なかでも、オードリーの若林正恭が“無表情で理解不能な言動をとるいまどきの若者”を演じた再現コント「モンスターヒラタ」は衝撃的で、みるみる人気コーナーになっていったのを覚えている。他方、その若林と南海キャンディーズの山里亮太を引き合わせたのも安島氏だ。ふたりの半生を描いた2023年のドラマ「だが、情熱はある」(同系)は、安島氏がいなければ存在しなかったかもしれない。
直近では、昨年大反響を呼んだ『オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム』の総合演出を務め、コンスタントに新番組も担当。約2年前、安島氏に取材した折、「(会社にいると40歳ぐらいで)『頑張ったとてこんなもんか』って感じがち」と口にしていたが、その後自分自身がフリーとなって前進し続ける姿勢には感服するばかりだ。
(鈴木旭/お笑い研究家)