連日メディアを賑わせている自民党総裁選。党内で本命視される小泉進次郎農相(44)も、出馬の意向を固めた。
12日の閣議後会見では「地元の声を伺い、最終的に判断していきたい」と述べるにとどめたが、水面下では着々と準備を開始。一部で不出馬説も飛び交ったものの、親しい議員に電話をかけ「出馬することになったらよろしくお願いします」と伝えているという。
■今度は餌向けの備蓄米を主食用に
現時点で「ポスト石破」の最右翼ともっぱらだが、進次郎氏の足かせとなりそうなのが、やはり「コメ」だ。9日の定例記者会見では、政府備蓄米の定期販売も視野に入れていると明かし、波紋を広げている。5年程度保管後、主に家畜の餌向けに販売してきた備蓄米の一部を、主食用として定期的に放出・販売する考えで、割安なコメを選択肢として残す狙いだ。
しかし、備蓄米放出はもともと一時的な措置なはず。生産者は、備蓄米放出による米価下落におびえてきた。定期販売となれば、なおさらだ。農政の専門家からも「政府がコロコロと方針を変えるようでは、増産を呼びかけても生産者は安心してかじを切れない」との指摘が出ている。
結局、進次郎氏が打ち出すコメ政策に、業界は振り回されっぱなしである。
■米どころの党員票は望み薄
「進次郎さんは人気こそありますが、やはりコメ政策ではアラが目立つ。
特に生産者は進次郎に冷たい視線を送っているという。
「矢継ぎ早に放出された備蓄米をめぐり、生産者の間では『米価下落で採算が取れなくなり生活基盤が脅かされる』など、強い懸念の声が広がりました。営農意欲に冷や水を浴びせられたと思う人も少なくない。業界内でも特に生産者は、進次郎さんへの信頼度が低下しています」(同前)
コメを巡る異常事態は、現在進行形だ。JAが集荷時に前もって生産者に払う概算金が、大幅に上昇。業者間の買い付け合戦も過熱している。背景には、猛暑に伴うコメの歩留まり低下への不安があり、店頭では、新米価格が軒並み5キロ4000円台後半という高値で推移。「コメ離れ」も懸念されている。
新米高騰にも有効な手を打てていない進次郎氏。今回の総裁選はフルスペック型で、全国の党員・党友も投票するだけに、党の支持基盤である農村部、特に米どころの支持は得られそうにない。
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