自民党総裁選は、今月22日の告示までまだ10日以上あるが、茂木敏充前幹事長(69)が10日、トップを切って正式に出馬表明会見を開いた。メディアは出馬予想で茂木氏含め、林芳正官房長官(64)、高市早苗前経済安保相(64)、小泉進次郎農相(44)、小林鷹之元経済安保相(50)の5人の名前を挙げている。
というのも、今度の総裁は「ババ」を引くようなもの。衆参少数与党のため、政権運営は困難を極めるうえ、そもそも自民党総裁イコール首相に必ずなれるとは限らないからだ。
「進次郎さんは党三役をやったことがないし、まだ若い。短期政権で潰すのは惜しいと、温存すべしの声がある。しかし、そうなると党員投票があるので、人気の高い高市さんの独壇場になるかもしれない」(自民党関係者)
高市氏は1年前の総裁選で党員票がトップだった。党内には、高市氏なら逃げた保守層を取り戻せると、期待する向きもある。だが、“高市総裁”では大事な連立パートナーが逃げる可能性がある。
公明党の斉藤代表は7日、「保守中道路線で、私たちの理念に合った方でなければ、当然、連立政権を組むわけにはいかない」と発言。連立を組んでいるとはいえ、他党の党首選に口出しするとはよほどのことだ。
「公明党は『平和の党』。
立憲・野田代表の覚悟次第
高市氏は昨年の総裁選で「首相就任後も靖国神社を参拝する」と明言していた。「中韓との関係が悪化するのは確実」(自民ベテラン)と、自民内でも危惧するのだから、「公明が連立離脱」だってあり得ない話ではない。
そこで、「まさか、ではあるけれど」としながら、永田町関係者がこう言う。
「高市さんがすんなり首相指名選挙で選ばれるのかどうか。たとえ参政党が高市さんに投じても、衆院は3人しかいませんしね。決選投票で公明が高市さんに乗らず、野党が誰かにまとめれば、自民は下野ですよ」
野党は10日に9党派揃って、臨時国会を早期召集すべきとの要求書を衆院議長に提出し、対決色を強めている。
立憲民主党の野田代表は10日出演したラジオ日本の番組で、首相指名選挙で野党側の首相候補を一本化する可能性を問われ、「それをしないと緊張感のない政治だ。まず誰に投票するかを決めるより、野党でまとまっていこうと合意できるかどうかだ」と発言。他の野党に協力を呼びかける考えを示した。
「野田さんの覚悟次第です。自分でまとめるか、あえて身を引いて、国民民主の玉木代表でまとめるか。
野田代表は「政権交代こそが最大の政治改革」と昨年の代表選で訴えて、党首になった。今がその時、なのだが……。
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「保守中道路線、私たちの理念に合った方でなければ当然、連立政権を組むわけにはいきません」自民党総裁選に対し、公明党の斉藤代表が踏み込んだ理由とは。●関連記事【もっと読む】『公明党が自民党総裁選に異例のドーカツ…「ポスト石破」本命の高市早苗氏&小泉進次郎氏に影落とす』で詳報している。