自民党総裁選に出馬した小泉進次郎農相。22日に告示を迎えてからは、テレビ局などの討論会や党内の会合などで、慌ただしく動き回っている。
24日の午前中は、国会内で昨年の衆院選で落選した元議員らとの会合に出席。午後には日本記者クラブの討論会、夕方からは東京・JR秋葉原駅前での街頭演説会に臨んだ。
進次郎氏は完全に“総裁選モード”に入っているようだ。今週の公務の予定を農水省に聞くと「金曜日の閣議後記者会見以外に、特に公務の予定は入っていない」(報道室の担当者)という。
「大臣がいないので、省内では新しい動きがありません。官僚も総裁選の結果待ちといった様子です」(農水省担当記者)
もはや農政はそっちのけだ。しかし、コメ流通現場では相変わらず、価格の高止まりが続いている。今年度産米は猛暑や渇水などによる収量減の不安から、集荷業者の買い付け競争が過熱。店頭では軒並み、5キロ税込み4000円台後半の高値で販売されている。
こうした米価高騰から、すでに新米の売れ行きが鈍化し、コメ小売業者は資金繰りが厳しくなっている。
「これでは商売が成り立たず、店がつぶれてしまう。早く何かしらの手を打ってほしい」
進次郎氏の地元、神奈川県横須賀市の老舗米屋の悲鳴だ。
■備蓄米の懸念も再燃
さらに、進次郎氏の肝いり政策である備蓄米を巡っても、放出の影響を懸念する声が再び広がっている。今月19日に農水省で開かれた食糧部会で、コメ生産者の委員から「輸入米も入り、増産で在庫増。価格が下がることが不安」といった声が上がった。そのうえで、「新米が出る中、備蓄米が売られていて、農家から『今年は売れ残るかも』という声も聞く」との報告もあり、コメ余りの不安が共有された。
「備蓄米放出は当初、新米が出回る時期と重ならないよう、先月までを販売期限としていた。しかし、進次郎さんは流通の滞りを理由に、期限を延長。今月以降の販売を容認しました。さらに、今後は主食用としての備蓄米の定期販売も選択肢に入れていると話していた。もしコメがダブつき、米価が暴落しようものなら、生産者の営農意欲はガクッと減退する。結果として、増産にもつながりません。農政の方針は相変わらずブレブレだし、信頼度が低下している。進次郎さんには、厳しい目が向けられています」(コメ小売り関係者)
コメ業界は難しい局面に陥っている。
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コメ業界が置かれている過酷な現状は【もっと読む】【さらに読む】で詳報している。