落ちぶれ政党の“悲哀”を5人の候補者もひしひし感じたのではないか──。
自民党総裁選(10月4日投開票)は、東京、名古屋、大阪の全国3カ所で順次行われる街頭演説会の第1弾が24日秋葉原で行われた。
ただ、各陣営の動員などもあり、それなりに聴衆はいたものの、長年、総裁選を取材しているベテラン記者は、「こんな静かな総裁選は初めてで驚いた」と、こう続ける。
「去年と同じメンバーの『出がらし総裁選』だから関心が低いのか、平日の夕方という時間帯を差し引いても、とにかく静かで、熱気がなかった。自民党の総裁選ですから、これまでならアンチの人も集まって、プラカードを掲げたり、声を上げたりがあったけれど、それもほとんどない。林さんの応援団が10人ほど、茂木さん応援の3人ほどが熱烈な感じでしたが、動員された支持者もいつもより少なかった。『高市さんガンバレ』と日の丸の旗を振っていたのは一人だけでした」
「相手にされないというのが一番怖い」
セキュリティー強化で、候補者たちが立つ街宣車は聴衆用エリアからかなり離れた位置にあるため、一体感が得られにくい上、エリア内に入るには荷物検査もある。そうした煩雑さが聴衆を演説会から遠ざけている面もあるだろうが、その条件は昨年の総裁選でも今夏の参院選でも同様だった。盛り上がらない理由はそれだけではないだろう。
現場に来ていた党の総裁選管理委員会メンバーのひとりは「(聴衆の)反応がない。寂しいね」と話し、集まっていた秘書らも「これはマズいね。自民党は国民に見捨てられたのか。相手にされないというのが一番怖い」と、困惑している様子だったという。
別の記者も「秋葉原はかつて自民党の『聖地』と呼ばれたのに、これが自民党の総裁選?」と目を疑ったと話す。熱量のなさを候補者たちも感じ取ったからか、「演説会は予定より早くあっさり終了した」(同前)。
自民党員じゃなければ総裁選の投票権はないし、参院選から2カ月以上続く政治空白に国民は呆れている。大メディアも一役買って電波ジャックに協力しているが、嫌われ自民党の総裁選に、世間は想像以上に冷ややかだ。
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