現地時間22日、米ニューヨークの国連総会で開かれたパレスチナ和平に関する首脳級会合。国連加盟193カ国のうち160カ国近くがパレスチナを国家承認する中、日本は承認を見送った。


 石破首相は同23日、国連総会の一般討論演説で「するか否かではなく、いつするかの問題」と言い訳したが、G7の英国、カナダ、フランスも相次いで承認に踏み切る中、今ほど適したタイミングはない。「いつやるか? 今でしょ!」って話だ。


「今回の見送りは、親イスラエルのトランプ米政権の意向をくんだのがミエミエです。パレスチナの国家承認ラッシュは、世界各国の危機感の表れ。約2年も続く人道危機をやめるようイスラエルに圧力をかける狙いがあるのに、日本はトランプ大統領のご機嫌取りを優先とは、情けない限りです」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)


 輸入原油の9割超を中東に依存する日本は、パレスチナ問題でも米国とは異なる独自外交を取ってきた。1993年のオスロ合意でパレスチナの暫定自治が認められて以来、日本は将来の国づくりに向けたパレスチナ支援として、累計26億ドルを投じてきた。現在の1ドル=148円換算で3848億円もの額だ。


 支援内容も食料、水、医療、教育、インフラ整備など多岐にわたり、23年10月のガザ危機以降は計2億3000万ドル(約340億円)規模の人道支援を継続中。きのうは、8億6100万円の医療支援の実施を発表した。


■イスラエルのジェノサイドは歴然なのに


 しかし東大大学院などによる衛星画像の分析によると、過去に日本政府やNGOが支援したガザの学校や病院、空港など多くの施設が空爆などで破壊されているのだ。


「このままだと日本の税金で賄った巨額支援は、灰燼に帰してしまいます。石破首相は一般討論演説で、イスラエルに対し『2国家解決』への道を閉ざすなら『新たな対応を取る』と警告しましたが、理解不能です。

イスラエルのジェノサイドは歴然。今すぐガザの人々を救うべきなのに、何をもったいぶっているのか」(春名幹男氏)


 いつまでも米国とイスラエルに「いい顔」をし続ければ、日本は世界のつまはじき者になる。


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