案の定、場外戦が勃発した。衆参両院で少数与党に陥った自民党の総裁選で争点のひとつは野党との向き合い方だ。
「国民の思いやニーズに合致しているか厳格に問われる」
連立参加が取り沙汰される日本維新の会にそうカミついたのは、国民民主党の玉木代表だ。23日のBS日テレ番組に生出演。先の参院選での自公大敗や、維新の伸び悩みを引き合いに出し、「選挙で負けたり(議席を)伸ばせなかったりした者同士が組むことは、民意を反映した権力構造になっているのか」とまで言ってのけた。
「有力候補とされる進次郎さんも高市さんも、連立拡大の念頭にあるのは、維新。相手にされない状況がプライドの高い玉木さんには面白くないのでしょう。その証拠か、同じ番組で進次郎さんの所得税制に関する公約を手放しで評価していた。物価や賃金の上昇に合わせて基礎控除などを調整する仕組みの導入を指し、国民民主が唱える所得税のインフレ調整とほぼ一緒。『それならコッチを向いてよ』と言わんばかりで埋没感への焦りの表れです」(政界関係者)
■玉木代表は嫉妬、非大阪組は離反も
玉木氏がジェラシーを抱きたくなるほど、維新のすり寄りはハンパない。24日には遠藤国対委員長が、自民の菅副総裁と国会内で会談。菅氏は小泉進次郎候補の後ろ盾で、維新とは独自のパイプを持つ。進次郎自身も維新の吉村代表と蜜月で、菅氏と遠藤は進次郎総理誕生後の連立拡大の可能性を協議した可能性がある。
同じ日の会見で藤田共同代表は、総裁選後に予定される首相指名選挙の対応について「何かの合意があったら他党の(党首の)名前を書く」と発言。維新が最重要視する「副首都構想」の実現に向けた合意があれば連立入りも辞さない構えで、すでに党内では顧問の馬場前代表の入閣説まで流れているという。
ただ、副首都構想を軸にしたロコツなすり寄りは、維新を内紛に向かわせる。首都機能の一部を大阪に誘致し、東京の大規模災害などに備える副首都構想で恩恵を受けるのは、本拠地・大阪の議員に限られるからだ。
都内が地盤の維新関係者は「副首都構想は大阪の肝いり政策。われわれとは全く関係ない。連立入りなら維新に残る意味はない」と断言した。副首都構想という“金看板”が輝くほど、維新は分裂必至。参院側に数多く残る「非大阪組」の集団離反に発展してもおかしくない。
連立拡大論議に浮足立った補完勢力のゴタゴタに、次期総理はどう決着をつけるのか。
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自民党総裁選後、各党はどう動くのか。【もっと読む】【さらに読む】で詳しく報じている。