終盤に向かう自民党総裁選(10月4日投開票)は混戦となってきた。本命の小泉進次郎農相(44)は陣営のステマ指示問題で失速。
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28日のNHK「日曜討論」に林芳正官房長官(64)、小林鷹之元経済安保相(50)、茂木敏充前幹事長(69)も合わせた総裁候補5人が生出演。自民の宿痾である「政治とカネ」の問題については総じて後ろ向きだった。高市氏は「口座取引を徹底する」とし、裏金事件を念頭に「自民党内の問題に関しては今後、同様の問題が発生したら厳しく対処をする」とごまかした。実態はいまだ解明されず、そのカギとなる当事者の新証言が出てきたのに、過去の問題は水に流すつもりなのか。
旧安倍派の政治資金パーティー収入の還流復活をめぐり、会計責任者だった松本淳一郎氏(政治資金規正法違反で有罪確定)が再開を指示したのは下村博文元文科相だと証言。25日、同罪に問われた元参院議員の大野泰正被告らの東京地裁での公判に証人出廷し、松本氏を旧安倍派に紹介した世耕弘成元参院幹事長がショートメールで「議員側のセミナーやパーティーの収入に上乗せして計上する」という内容の偽装工作を提案したとも明かしたのだ。
「裏金事件の被害者」
松本証言の翌日に発売された「月刊Hanada」(11月号)に萩生田光一元政調会長、世耕、西村康稔元経産相が登場。発売に先立って高市支持を表明した萩生田氏は〈小林さんはまだ若いのだから、内閣や党内で存在をアピールできるポジションで経験を積んだほうが将来的にはいいと思います。小泉進次郎さんも同じです〉と牽制。
〈「派閥のほうで処理をしてあるから、二重記載にならないようにそちらは記載をしなくていいですよ。政治活動に使ってください」と言われて戻されたお金だと聞いていました。だから全員がミスを犯してしまったのですが、間違ったルールの被害者でもある〉
被害者ヅラするのであれば、なおのこと「いつ」「誰が」「どうして」を究明した方がいいし、世間もそれを求めている。にもかかわらず、〈岸田さんなり、派の責任者がやってくれればよかったのですが、みんなが「俺は知らない」とボールを後ろに回していった〉と振り返り、岸田前首相や旧安倍派の座長だった塩谷立元文科相に批判の矛先を向けた。
離党に追い込まれた世耕氏に至っては〈記者会見、政倫審、衆議院議員として憲政史上初めて参議院の予算委員会に参考人としても出席、説明責任を果たすべく務めてきました〉と妙に誇らしげで、〈国会としては一定の区切りがついている〉と主張。西村は〈不記載を指示、了承したことは一度もありません〉と釈明に終始していた。
「ポスト石破レースは進次郎氏、高市氏、林氏の三つ巴。知性と人格に安定感のある林氏が追い上げている。進次郎氏と高市氏がそろって失速した結果、『進次郎VS林』で決選投票の公算が強まってきている」(自民党関係者)
投開票まで残り5日だ。
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大混戦の自民党総裁選だが、国民の関心はイマイチ……。●関連記事【もっと読む】『自民党のグダグダ総裁選に国民は完全ソッポ…アンチさえいないお寒い街頭演説に凋落ぶりあらわ』で詳報している。