来週の土曜日(10月4日)に投開票される自民党の総裁選。まさかの大波乱はあるのか──。

小泉進次郎農相と高市早苗前経済安保相の「2強」が失点を重ねたことで、「第3の男」林芳正官房長官が「台風の目」になっている。ロイター通信も「支持じわり拡大」と取り上げている。


 総裁選は、国会議員票と党員・党友票295票ずつを合わせた590票で争われる。1回目の投票で誰も過半数を取れなかった場合は、上位2人での決選投票となる。5人も出馬しているため決選投票になる可能性が高い。


 国会議員票では、現在、林官房長官は2位につけているという。


 各候補の出陣式に出席した議員数は、代理出席を含めて、進次郎農相92人、林氏55人、小林鷹之元経済安保相38人、茂木敏充前幹事長30人、高市氏30人だった。


 26日現在、JNNの調査では、進次郎農相が全体の3割弱にあたる約80人の支持を集め、林氏と高市氏が、それぞれ約50人の支持を獲得しているという。


 予想外に林氏が議員票を集めているのは、所属していた旧岸田派(宏池会)出身の候補が林氏に一本化されたことと、石破茂首相の盟友の中谷元・防衛相ら「石破票」を取り込んでいるためだ。昨年の総裁選は、旧岸田派の上川陽子前外相も出馬したが、今回は断念している。旧岸田派(約40人)は、林氏支持でまとまりやすくなっている。


 さらに、昨年の総裁選では「高市氏支援」に回った麻生派が、今回は各候補の支援に分散しているため、高市氏支持の国会議員票が伸びず、結果的に林氏の議員票が上回っているという。


「今回、林さんには心強い応援団が2人ついています。1人は、かつて宏池会の会長を務めた古賀誠です。古賀さんは、いまだに政界に影響力がある。もう1人は、昨年の衆院選で落選した武田良太元総務相です。武田さんも党内に手勢がいる。古賀-武田の共通点は、地元・福岡で麻生太郎さんと覇権を争っているということです。“反麻生”の古賀-武田の2人が、林支持でタッグを組んでいる形です。麻生さんも、林さんのバックに古賀-武田がいることはわかっている。だから麻生派議員は、総裁選に出馬した4人の推薦人に名を連ねているのに、唯一、林さんの推薦人にはなっていません」(政界関係者)


 はたして「台風の目」となっている林氏は、上位2人の決選投票に残れるのか。決選投票に残れば、総理総裁の可能性も出てくる。



カギ握る、2人の総理経験者

 カギを握るのは、キングメーカーを狙う岸田文雄氏と麻生太郎氏、2人の首相経験者だ。


「岸田さんも、麻生さんも、進次郎を“本命”とみて、進次郎を支援して主流派になるつもりだと思う。

2人にとって最悪の展開は、決選投票が“進次郎VS林”になることでしょう。もし、林さんが決選投票まで残ったら、さすがに岸田さんは、岸田派を挙げて支援せざるを得ない。でも、林さんが勝利する保証はなく、負けたらキングメーカーの座を奪われる。逆に、もし林総理が誕生したら、旧岸田派は林派に衣替えし、岸田さんの影響力が低下する恐れがある。だから、林さんには決選投票に残って欲しくないのがホンネでしょう。麻生さんにしても、林さんが決選投票に残ったら総理総裁の可能性が出てくるから、絶対に林さんが上位2人に残ることは阻止したいはずです」(自民党事情通)


「派閥政治」と「長老支配」──。自民党政治は変わらない。


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