「大阪の男」と「奈良の女」が日本の中心で“愛”を叫ぶ──。なかなかドラマチックではあるが、この舞台が打算と駆け引きの渦巻く永田町だからいただけない。

日本維新の会の藤田文武共同代表は17日、自民党高市早苗総裁と連立に向けた2回目の政策協議を実施。互いに「数の力」を欲するグロテスクな睦み合いは、何でもありの展開をたどっている。


■副首都構想と社会保障改革が「2本柱」のはずが…


 藤田氏は17日、再協議後の記者会見で「(政策合意に)大きく前進したものと両者で受け止めている」と強調。21日に行われる首相指名選挙に向け、「文言・解釈・期日等も含めて最終調整・詰めを行っていく」と力を込めた。


 この日、記者から質問が集中したのは「連立の絶対条件」に急浮上した議員定数削減について。維新の吉村洋文代表が再協議に先立ち、テレビ番組で「議員定数削減を臨時国会、12月中までにやるっていうことが決断できないぐらいだったら、他の改革できません」などと訴えたことがキッカケだった。


 16日の初協議で維新が高市総裁に示した「12本の矢」、すなわち政策実現の要望12項目に議員定数削減は盛り込まれているが、あくまでも副首都構想と社会保障改革が「2本柱」だったはず。


 再協議後の会見で、藤田氏は「企業団体献金と議員定数削減は2つとも重要で、私たちは結党以来、ずっと言ってきた」と、方針転換ではないと主張した。


「議員定数削減は維新の公約ですが、他の項目を差し置いて『連立の絶対条件』としてこだわっているのは、維新が訴えている企業団体献金の禁止について折り合えないから。裏金議員の要職復帰が取り沙汰される中、自民と手を組もうとしている維新の『政治とカネ』に対する姿勢は世間から注目される。連立入りのために企業団体献金を巡り自民と手を握ったと捉えられかねない。別の落としどころを探るために、あえて議員定数削減を全面的に押し出したのではないか」(維新関係者)


 国会議員定数は衆院が465人(小選挙区289人、比例代表176人)、参院が248人(選挙区148人、比例代表100人)。

吉村代表は「衆院で50人削減する」との目標を掲げ、自民も受け入れる見通し。しかし、そもそも実現のハードルが高いうえ、首相指名に鼻息が荒いだけの高市総裁が本気で取り組むかは極めて怪しい。


公明党代表は「あまりに乱暴」


 立憲民主党野田佳彦代表が首相在任中だった2012年、党首討論で定数削減を条件に衆院を解散。その後、政権復帰した自民は約束を反故にした経緯がある。野田代表は17日の会見で、当時を振り返りつつ「維新は騙されると思う」と自維連立を牽制した。


 連立離脱した公明党も定数削減に反発。斉藤鉄夫代表は維新が臨時国会で関連法案の成立を目指していることに、「あまりに乱暴」「企業・団体献金の協議が進まないから定数削減の話に持っていくというのはすり替えだ」と激オコだ。


「定数削減のヤリ玉に挙がるとしたら、まず比例代表の議席でしょう。特に比例票を集めて議員を出している公明党や共産党は強く反対する。自民党内だって意見が割れている状況です。今まで棚上げしてきたのに、この臨時国会で決着をつけようとすれば紛糾必至。絶対に首相になりたい高市さんと、自民に妥協している感を悟られたくない吉村さんとの間の“空手形”でしょう」(永田町関係者)


 政治停滞の政局ドラマを見せられた挙げ句、最終回は「自維連立解消」で終わる可能性もある。

しょーもない。


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 これに焦りを募らせているのが、もう一つの「ゆ党」国民民主党の玉木雄一郎代表。関連記事【もっと読む】国民民主党・玉木代表「維新連立入り」観測に焦りまくり…“男の嫉妬”が見苦しすぎるで詳しく報じている。


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