フィリピン・パンパンガ州アンヘレス市で起きた建設中のホテル崩落事故は、6月2日午後までに計23人の遺体が収容され、発生から10日目で捜索活動が幕を閉じた。20人死亡、27人負傷という未曾有の惨劇の全貌が明らかになった今、フィリピン社会が向き合うべきは、経済成長の裏で繰り返される「安全軽視」と「行政の腐敗」という構造的な闇の克服である。


その他の写真:Googleストリートビュー 2024年5月、 この写真からも柱が細いことがわかる。

 現地主要メディアが報じる通り、この事故は自然災害ではなく明白な「人災」だ。当初9階建てとして市政府から許可を得ていたにもかかわらず、最上階の10階部分に無届けで重量のある「屋上プール」の増築を強行していたことが判明している。コンクリート床が重力に従って垂直に潰れる「パンケーキ崩壊」を引き起こし、深夜に就寝中だった作業員や周辺住民の命を一瞬にして奪い去った。

 なぜこのような致命的な違法建築が黙認されていたのか。アンヘレス市政府はすでに建築局幹部らを停職処分とし、労働雇用省(DOLE)も不透明な作業停止命令の解除に関わった地方局長を更迭した。フィリピン・スター(Philstar)紙は、フィリピン国家警察(PNP)が業務上過失致死傷および国家建築基準法違反の容疑で、ついに市長側へ接触を図ってきた建物のオーナー(施主)であるアーネスト・ジャクソン・リム氏ら民間側への刑事捜査を本格化させたと伝えている。

 急速な都市開発に沸くフィリピンでは、同様の違法増築や贈収賄による検閲逃れが慢性化しているとの指摘は絶えない。23人の尊い命を犠牲にして幕を閉じた今回の悲劇を、単なる一過性の事故として終わらせてはならない。安全インフラの徹底とコンプライアンスの刷新が、今まさに厳しく問われている。
【編集:Eula】
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