2021年11月下旬に入ってから、新型コロナウィルスの最新の変異株「オミクロン」と頻繁に耳にする。新しい変異株には、WHOが、基本ギリシャ文字を用いて順番に名付けているが、オミクロンは、15番目のギリシャ文字だ。
変異株としては、13番目に当たるのになぜか。

その他の写真:中国政府WEBページから

 WHOは、こう答える。13番目は、ニュー(Nu:ν)であり、英語の「New」=新しいと間違う可能性がある。まあまあ、これは、納得せざるを得ない。新型のニューでは話がややこしくなるからだ。

 では、14番目はというと、クサイ(Xi:ξ)になる。
日本人のダジャレが好きな方々には、このどうにも撲滅の使用法の見つからない新型コロナを笑いの道具に代えかねない。しかし、それは日本ならでのことで、特に問題はない。…そう思えるのだが。

 偉大な中国の最高指導者である、習近平氏の英字表記が「Xi Jinping」(ダジャレ好きは、このコラムを読んでいる時点で2~3つなにか浮かんでいるだろう)。習氏が「くさい」ではダメなのだと。なぜなら、一番に新型コロナが発症した国が「クサイ」と、発展形で「臭うぞ」になってはいけないのだ。

というか、この連想をした時点で、すでに、WHOも「臭ってはまずい」と考えていることになる。

 WHOのテドロス事務局長は、中国が今力を注いでいるエチオピア出身だ。事務局長に選ばれたのも、中国の影響力の賜物とも噂されている。だからこそ、どこで発症したかなんかどうでもいいじゃないかという方針で存在する。

 習氏以外にも、Xiと表記される人もいるように、オミクロンと呼ばれる人もいる。なのに、と特定の国を象徴してしまうということで避けていたら、ギリシャ語も英語も、日本語も、中国語、韓国語ですら、すべて使えなくなる。
その忖度はどこでも行われてしまう。

 「地名、人名、動物などを使用しない命名が望ましい」とWHOの広報は答えるが、見え透いた忖度は、新型コロナの前ではやめるべき。変異種が、ギリシャ文字の数を越えた場合、欠番を使わざるを得なくなるのだから。後になればなるほど、テドロス事務局長の立場が悪くなるだろう。
【編集:fa】