今年に入って、1993年のドラマ『高校教師』の再放送が始まったことにより、再び桜井幸子の美貌に注目が集まっています。現在の芸能界にも美少女は数多く存在しますが、かつてと比べると「大人っぽくて儚げな」雰囲気の10代美少女が少なくなってきている気はしませんか?

AKBなどのアイドルグループの影響もあり、10代後半になっても…場合によっては20代半ばくらいまで中学生のような幼い“元気で可愛い”タイプが求められ、“年齢は若く・雰囲気は大人”な美少女が表に出て活躍することが減ってきました。
芸能界全体を探せば存在するのかもしれませんが、売れている女優として若いうちから表に出て活躍するのは極めて稀だったりします。

今回は最近少なくなってしまった、90年代に活躍したミステリアスで物静かな雰囲気の美少女たちをご紹介したいと思います。

■ 野島伸司作品の似合う薄幸系美少女

まずは、前述の桜井幸子です。1989年、フジテレビ系の大映ドラマ『スワンの涙』で女優デビュー、1993年に野島伸司脚本『高校教師』で、真田広之演じる主人公と恋に落ちる女子高生役で注目を浴びます。

教師と恋に落ちる女子高生役にもかかわらず物憂げな佇まいは美しく、大人の男性が「桜井幸子のファンなんだ」と言っても、ロリコン扱いされないはんなりした魅力に溢れていました。

「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」をはじめバラエティに登場することもありましたが、物静かな雰囲気は崩さず、ミステリアスなイメージを保ち続けます。


2009年には芸能界を引退、現代は一般人として暮らしているとのことです。

■ 着物の似合う文学的な香り

続いて代々木ゼミナールのテレビCMや『東京大学物語』などで活躍した女優、井出薫をご紹介します。

1992年、JRの青春18きっぷのポスターに起用され、繊細な美貌で話題を呼びます。

後に夫となる片岡K演出の『文學ト云フ事』に出演した際の、たおやかでどこか薄幸そうな着物姿も衝撃的でした。

ぬけるような白い肌と線の細い華奢な体つき、切なげな瞳が男性陣から絶大な支持を得てCMやドラマなどで人気を博します。

歳を重ねても確実に美しいであろう正統派美人なだけに女優として今後の活躍が期待されましたが、1997年、演出家片岡Kと入籍を期に惜しまれつつ芸能界を引退してしまいます。


■ 知的な瞳とショートヘア、透明感が秀逸

続いては、NHKの連続テレビ小説『オードリー』では主演も務めた短髪も似合う色白美女、岡本 綾をご紹介します。

1995年の映画『学校の怪談』でヒロインを演じ、その愛らしくも落ち着いた美貌で一躍注目されます。

2000年にはNHK『オードリー』で連続テレビドラマ初主演。独特の透明感と、控えめながら理知的な眼差しで、朝のヒロインに相応しい爽やかさを振りまきます。

演技派女優としてドラマや映画で活躍しますが、2006年、俳優中村獅童とのスキャンダルがきっかけに露出が減り、2007年5月に芸能活動を無期限休養を発表してしまいます。

■ ポニーテールと華奢なうなじ…

最後は、唯一の現役女優、高橋かおりです。
子役出身の高橋は1982年デビューで、そのキャリアは若くして30年を超えています。

10代の頃は、やはり憂いを帯びたミステリアスな瞳と、ポニーテールの似合う華奢なうなじが美しい少女で、儚げな佇まいながら、キャリアの長い女優ならではの独特の貫禄を感じさせる演技も人気の要因でした。

砂岡事務所に所属していた1990年代前半には一部で、中嶋朋子、小島聖とともに、「砂岡三人娘」とも呼ばれ、現代の安定した演技力と変わらぬ美貌で2時間サスペンスドラマなどを中心に活躍しています。

いかがでしたか? “若い女子は元気でかわいく!”というロリータ文化が定着したアイドル戦国時代の現代において、アイドル冬の時代と言われた90年代特有の“女の子ではなくて若い女”という完成度を持つ10代美人女優は、新鮮な存在に思えてしまいます。

かわいらしいものやファニーなものよりも、クールで美しいものが好まれた90年代。当時活躍した上記の人気女優のほとんどが現在引退してしまっているところも、美しさをと儚さをいっそう際立てるようで感慨深いです。


(星野小春)