圧倒的な頭脳と捜査力を持ちながらも、そのマイペースぶりから警視庁の厄介者となった刑事・杉下右京。彼を"島流し"にするために無理やり設けられた窓際部署「特命係」を舞台に、右京と、彼のもとにやってきた刑事が"相棒"として活躍する姿を描いた「相棒」シリーズ。
そんな大人気シリーズの中で、反町隆史演じる元キャリア官僚・冠城亘と右京のコンビネーションの深まりを描いたのが、2016年より放送された「相棒 Season15」だ。

(C)東映
Season14で、人事交流の名目で法務省から警視庁に出向してきたキャリア官僚として登場した亘。持ち前の愛嬌と人懐っこさで、あっという間に右京を「右京さん」と呼ぶだけでなく、その優秀な頭脳と巧みな話術を活かして事件解決に貢献。名実共に右京の相棒となった。しかし、とある事件で裁判所の令状執行を阻止する"捜査妨害"を行っていたことから、法務省を事実上のクビに。その後、異例の措置で警視庁に飛ばされることになった亘が警察学校での研修を終え、警視庁総務部広報課で仕事を始めているところから、Season15はスタートする。
■後のシリーズに繋がる重要なエピソードも登場したseason15

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Season15の軸に据えられたのは、総務部広報課長・社美彌子(仲間由紀恵)の娘の父親の正体と、Season14第15話「警察嫌い」に登場した公務員で、現在はサイバーセキュリティ対策本部・特別捜査官となった青木年男(浅利陽介)による特命係への復讐。彼らの思惑を知らぬまま、右京と亘はさまざまな事件を解決へと導きながら、絆を深めていく。

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右京はいつもと変わらずマイペースで、さまざまな事件をストイックに追及。本作の放送当時、水谷は右京を演じ始めてから16年目。その演技はさらに円熟味を増し、限りなくナチュラルなものとなっている。やわらかい物腰で事件関係者に話を聞きながら、鋭い観察眼と卓越した推理力で事件の真相に迫っていく。

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反町演じる亘は、美しい上司・美彌子に「課長は自分の美貌がどれだけ人を惹きつけるか、わかってらっしゃらない」と、歯の浮くようなセリフも表情1つ変えずにさらりと言ってのけ、女性が大好きな性格は相も変わらず。しかし、女性へのリスペクトは分け隔てなく、第1話で、ある事件の関係者でもある老婆に右京が事情聴取する際には、椅子を引き、腕に優しく手を添えてゆっくりと座らせてあげるなど、完璧なエスコートを披露する。そんな亘を反町が、落ち着きのある大人の男性として表現して見せた。また、前述の右京が怒りをあらわにするシーンでも怯むことなく、落ち着いた口調で「右京さん、あなた何様だ」と受けて立つなど、2人が対等な関係の相棒であることを、腹の座った演技で示した。

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本シーズンで描かれた年男の復讐や、美彌子をめぐる組織内のいざこざは以降も続き、「相棒」という作品にとって重要なエピソードが多数存在するSeason15。"相棒感"がさらに深まった水谷と反町の息の合った演技に注目しながら、日本を代表する奥深い刑事ドラマを楽しんでほしい。
文=中村実香
放送情報【スカパー!】
相棒 season15
放送日時:2025年8月11日(月)9:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます