2026年、スカパー!はサービス開始30周年という節目を迎える。同じく坂本真綾も、音楽活動30周年のアニバーサリーイヤーの真っただ中だ。
HOMINISではスカパー!30周年企画の一環として、坂本にインタビューを実施。どんなエンタメに惹かれ、普段どんなふうに楽しんでいるのか。作品や番組に触れるときに大切にしている視点に加え、おすすめの作品についても語ってもらった。
――スカパー!では音楽、バラエティ、スポーツなどさまざまなジャンルの番組が放送されていますが、坂本さんが好きなエンタメのジャンルはありますか?
「大前提として、何かにものすごく詳しい、というタイプではなくて、全部浅いんですけど、私の心の癒しは、スポーツとお笑いの二本立てですね。日々のストレス解消は、テレビなどでスポーツ観戦をする時間と、お笑い芸人さんのネタ番組やトーク番組を見て笑わせてもらう時間、その両方に救われて生きています」
――スポーツは、特にどの競技がお好きなんですか?
「もう何でも好きなんですけど、格闘技が大好きでよく『PRIDE』を見ていました。90年代から2000年代前半ぐらいまで、私が高校生から大学生ぐらいの間に特に盛り上がっていて。当時は、打撃だけじゃなくて寝技があったり、選手それぞれのキャラクターが立っていたりして、女性ファンもぐっと増えた時期だったと思うんです。格闘技に興味を持つ女性もすごく増えたタイミングで、私も熱狂して応援していましたね」
――スポーツを見ているとき、坂本さんは熱くなるタイプですか?
「なりますね。スポーツ選手って、勝ち負けや競技中のプロセスだけじゃなくて、ひとりのプロフェッショナルが仕事に向き合う姿勢を目の当たりにする機会でもあると思っていて。自分の仕事とは全然違うんだけど、重ねたりしながらここは自分も真似したいなと思ったり、勇気がもらえるところが好きなんです」
――すごくわかります。結果だけではなく、そこに至る姿勢や積み重ねに励まされる瞬間も多いですよね
「あとは、スポーツ選手の自伝やエッセイを読んだりもします。
――スポーツやお笑いを見るときは、ひとりで見ることが多いですか? それとも複数で楽しむことが多いですか?
「私にスポーツ観戦好きの友達がひとりいて。海外の試合だと真夜中になってしまったりするので、家族も寝ているし、基本はひとりで見ているんですけど、その子だけは起きているので、LINEでずっと会話しながら応援しています。真夜中だとあんまり大きい声も出せないけど、すごいスーパープレーがあったときに、カーテンの外をそっと覗いて、『明かりがついてる人、いないかな』って想像するのが好きです(笑)」
――スカパー!にはいろんな番組がありますが、もし坂本さんが番組をプロデュースできるなら、どんな企画をやってみたいですか?
「自分は見るほうで幸せなんですけど......(笑)、でも、ノンフィクションが好きなので、ドキュメンタリーみたいなものは惹かれます。例えばM-1みたいなお笑いの賞レースも、放送そのものだけじゃなくて、その裏側を後から見るのが好きなんです。舞台上の放送はよくありますけど、袖とか稽古場の風景を見られる機会があったら、お客さんとして見てみたい。本番だけではなくて、できていくまでのプロセスを見せる場があっても面白いんじゃないかなと思います。自分が出たいというより、私もミュージカルをやっていたときに、稽古場ってすごくいろんなドラマが起きる場所で、大きな変更が起きたり、徐々に深まっていったりするんです。そこは本来お客様に見せるものではないけど、立ち会える側としてはこれはなかなか見られない場面だな、面白いなっていつも思っていて。違う職業の人が見たらどう思うんだろう、というのは興味がありますね」
――坂本さんがこれまでの人生で影響を受けた作品や、人生観が変わった作品はありますか?
「たくさんあるんですけど、ひとつ挙げるならジブリの『魔女の宅急便』ですね。小学生のときに公開された映画で、映画館でも見たんですけど、そのときあまりにもすごいと衝撃を受けて。
――小学生や中学生で見た作品が、今もずっと影響しているんですね
「そうですね。小さいときはキキに共感していたけど、大人になってみると、居候させてもらったパン屋さんのおソノさんに共感したり、もっと年上の人の気持ちがわかってきたり。女性の成長をいろんなキャラクターが断片的に見せてくれるので、共感するキャラクターが変わっていくのも面白いなと思います」
――大人になってからも、見返したりしますか?
「見返してしまいます。何回見ても飽きずに楽しめるんですよ。セリフはもうほとんど覚えてしまっているんですけど(笑)」
――では、読者に「これ、ぜひ見てほしい」とおすすめしたいエンタメ作品はありますか?
「今の若い人が『PRIDE』を知らなかったら、見てほしいですね。スポーツだけど、エンタメなんです。バックボーンも得意技も異なる者同士がぶつかり合う、 "異種格闘技"ならではの面白さがあるんです。
――最後に、坂本さんは声優やアーティストとして活動されていますが、これからどんなエンタメを届けていきたいですか?
「流行がどんどん変わっていく中で、私自身30年続けてきて、世の中の流れに合わせて変わり続けなきゃいけない部分と、変わらずに持ち続けるべき部分の両方があると感じています。そのバランスは、長くやればやるほど難しいですね。最近あらためて思うのは、声優も舞台も音楽活動も、共通しているのは言葉を届ける仕事だということ。言葉がちゃんと伝わるように届けるというシンプルなことを大事にしたいです。タイパ重視で速く消費される時代でも、言葉が人の心に届いたときに生まれるものは変わらないと思っているので、伝わり方が変化しても、届ける側は丁寧に投げる姿勢を忘れたくない。テンポが速く、セリフもどんどん早くなる現場だからこそ、この言葉で何を届けたいのかを自分が理解したうえで伝えたいですし、作詞をするときも同じように、言葉を大切に歌いたいです」
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
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