■明治時代に西洋から輸入されたこっくりさん
明治初期、こっくりさんが日本で大流行しました。当初は不思議な占いとして親しまれていたこっくりさん。
現在のこっくりさんには「はい・いいえ」や「五十音表」、それに「鳥居」などが描かれていますが、明治のこっくりさんは3本の細竹をまとめたものを使います。
細竹の上に米櫃のフタを載せ、数人でフタに手をかけます。フタが動き出したら質問の答えを表しているということ。この方法を伝えたのは、アメリカ人の船乗りです。
テーブル・ターニングの風景(19世紀・フランス)wikipediaより
当時、西洋では「テーブル・ターニング」と呼ばれる降霊術が流行していました。このテーブル・ターニングをアメリカ人船乗りが実践しているのを見た日本人が、各港でやるようになったのが始まりだとされています。
日本に伝わってからは「狐狗狸さん」という字があてられ、狐や狸、天狗が憑依したことで不思議な現象が起こるといわれるようになりました。
■妖怪博士・井上円了が解き明かすこっくりさんの正体
こっくりさんが起こす現象に興味を示したのが、明治時代の学者・井上円了(いのうえ えんりょう)。円了は哲学や仏教に優れた知見がありながら、妖怪博士と呼ばれる多彩な経歴を持つ研究者でした。
井上円了の肖像(wikipediaより)
彼が行った実験によると、こっくりさん現象は若い人や信心深い人、女性に多く見られるとのこと。そして、こっくりさんの現象は不可思議な力が働いたのではなく、ヒトの予期意向と無意識の筋肉運動によるものだと円了は結論づけました。
予期意向とは、ヒトがもともと持っている知識や経験、こうなってほしいという気持ちの表れ。つまり、前もって「不思議な現象が起こる」と聞かされていれば、それが無意識に作用して筋肉を動かすということ。
この一連の動きから、こっくりさんが憑依したように見えると円了は伝えます。
若い人に多い理由は、集中力もあり筋肉運動も生じやすい面があるから。反対に、老年だと集中力や動きが鈍くなるのでこっくりさん現象が起こらないそうです。そして、信心深い人や女性は感応しやすいことから、無意識の筋肉運動が起こるといわれています。
■おわりに
実際、昭和40年代後半に起こったこっくりさんブームでは、学生による事故が多く報告されているので、若さが作用しているのは確かかもしれません。当時の学校では、生徒が狐憑き状態(錯乱や失神)になる現象があり、こっくりさんが禁止されるほどの騒ぎになっています。
『玉山画譜』にある狐憑きの画(wikipediaより)
円了が伝える通り、こっくりさんはヒトの意識による作用だったのでしょうか。それとも本当に何かが憑依していたのか……。
参考
- 超訳 井上円了 妖怪学入門: 付・『妖怪学講義』より「コックリさんの原因について」
- ぼくらの昭和オカルト大百科: 70年代オカルトブーム再考
- 井上円了の哲学と妖怪学の目的
日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan
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