2025年卒の学生を対象とする就職活動の一環で、そろそろインターンシップの足音も聞こえてくる時期だろう。では、彼らの職業観や仕事観はどういうものだろうか?

「キャリタス就活」を運営するディスコ(東京都文京区)が行った「2025年卒・キャリア意識やインターンシップ等に関する調査」によると、今年度から適用されるインターンシップの定義について、2023年2月には「知らない」が55.5%だったのに対して、直近の調査では「内容を詳しく知っている」「内容をある程度知っている」を合わせて47.4%になるなど認知度が高まるとともに、インターンシップの参加へも意欲的な結果が出ている。

また、さまざまなタイプのあるインターンシップの中でも、いわゆる会社説明会・職場見学などにあたる「オープン・カンパニー」や、職場体験的なプログラムの「汎用能力活動型インターンシップ」に参加したい意向のある学生は9割近くになっている。

「自分に合う企業探したい」「数多く企業を受けたい」...オープン・カンパニーの人気高まる

この調査は、2023年5月18日から31日までの間、キャリタス就活会員のうち2025年3月卒業予定の全国の大学3年生・大学院修士課程1年生を対象に、文系809人、理系・学部生206人、理系・大学院生109人の1124人を対象にインターネットアンケートを行った。

まずは、大学3年生(修士1年生)の5月後半時点での、インターンシップや仕事研究プログラムなどへの参加意向を聞いた。それによると、「参加したい/参加する予定」が9割を超え(96.1%)、参加意欲の高さが顕著だった。

また、2025年卒就活生からは、採用を目的としておこなわれるインターンシップ――採用直結型のインターンシップが解禁されることが話題だ。こうしたインターンシップ新定義の認知度はどれくらいだろうか。

調査結果によると、「内容を詳しく知っている」が9.2%で、「内容をある程度知っている」は38.2%で、あわせて半数近く(47.4%)に上った。ちなみに、2023年2月~3月に、25年度卒を対象に行った同じ調査では、「新たに定義されたことを知らない」が55.5%だったというから、この数か月で、認知度が格段に進んだことがわかる。

具体的に、参加したいインターンシップはあるのだろうか。今回の調査では、「タイプ1:オープン・カンパニー」、「タイプ2:キャリア教育」、「タイプ3(1):汎用的能力活用型インターンシップ」、「タイプ3(2):専門活用型インターンシップ」、「タイプ4:高度専門型インターンシップ」の5つの中で、参加意向を聞いた。なお、それぞれの定義は下記のようになっている。

タイプ1:オープン・カンパニー(業界・企業による説明会・イベント/単日)
タイプ2:キャリア教育(大学等の授業・産学協働プログラムや企業による教育プログラム)
タイプ3(1):汎用的能力活用型インターンシップ(職場における実務体験/5日間以上)
タイプ3(2):専門活用型インターンシップ(職場における実務体験/2週間以上)
タイプ4:高度専門型インターンシップ(修士課程学生・博士課程学生対象)

調査によると、タイプ1:オープン・カンパニーは「積極的に参加したい」(50.6%)と「ある程度は参加したい」(44.8%)をあわせて「95.4%」と極めて高い結果になった。

また、タイプ2:キャリア教育は、「積極的に参加したい」(33.3%)と「ある程度は参加したい」(53.4%)をあわせて「86.7%」だった。そして、タイプ3(1):汎用的能力活用型インターンシップは「積極的に参加したい」(41.5%)と「ある程度は参加したい」(46.7%)をあわせて88.2%で、どちらも9割近くに上り、参加意欲が高かった。

一方で、タイプ3(2):専門活用型インターンシップは2週間と期間がかかるため、学部卒では6割程度にとどまった。ところが、理系院卒では「積極的に参加したい」(35.8%)と「ある程度は参加したい」(38.5%)をあわせた7割以上が参加の意向を示している。

なお、理系院生のみが回答したタイプ4:高度専門型インターンシップも8割近い参加意向があり、専門性を高めたり、自身の適性を確認したりしたい人が多いようだ。

アンケートの自由回答を見てみると、

・多くの企業から自分に合う企業を探したいので、オープン・カンパニーに積極的に参加したい。
(理系男子)
・タイプ1は企業説明会などだと思うから、特にWEBなら参加しやすくてすごくいい。(文系女子)
・オープン・カンパニーで自分の気になる企業を探し、その後他のプログラムを受けるイメージがある。インターンシップは数多く受けたいので、汎用的能力活用の方を受けたいと感じた。(文系男子)

などの意見が上がっている。

続いて、インターンシップについて具体的に参加したいプログラムを聞いた。「業界や企業の概要を理解できるもの」が最多で「87.8%」となった。

次いで、「実際の職場を見ることができるもの」が「78.3%」、「実践的な仕事を経験できるもの」は「71.4%」が続いていく。

自由回答の意見を見てみると、

・企業の概要や会社の雰囲気などを掴むことや、企業の人との交流を深められること。(理系男子)
・企業の方と交流したり、実際に企業に出向いて参加したりすることで、「働く」というイメージを自分の中で より明確化したいと考えます。(文系女子)
・業界の情報を集められたり、自分のスキルや経験を上げられたりすることに期待しています。 (文系男子)
・自分自身の得意不得意や、その分野の仕事を本当にしたいのかを考えるきっかけにしたい。 (理系男子)
・企業からのフィードバックによる自身の成長、企業の方とのつながり、他学生とのつながり。
(文系女子)

などが上がっている。

同社の分析では、

「プログラムへの参加を通じ、業界や仕事内容について理解を深めることで、就職先選びの参考にしたいという学生の考えがうかがえる。なお、理系は『自分の専攻分野と関連があるもの』が52.3%で、文系に比べ20ポイント以上高い」

としている。

25年度新卒学生の職業観 志望業界のきっかけ「入学前から決めていた」「商品を利用して好きになった」「業界研究の結果」

また、学生たちの就職観・職業観はどうだろう。現時点で興味のある仕事・業界を聞いてみると、全体の数字で「20.7%」が「具体的にある」と答えた。理系・院生は特に高く、学部生では2割程度だった「具体的にある」だったが、院生は「26.6%」という高水準となった。

さらに、現時点で興味のある、たまは働いてみたい業界を選んでもらった。その結果、全体では「サービス」が「48.1%」、「メーカー」が「47.1%」、ITが「26.8%」と1位と2位が僅差となった。属性別で見ると、文系の1位は「サービス」で「59.3%」と6割近い学生が志望している。理系・学部は「メーカー」(53.6%)、理系・院生は「75.9%」が「メーカー」を志望している。

興味を感じる仕事や働いてみたい業界について、興味を持ったきっかけも聞いている。それによると、「大学入学前から志望していた」が「41.0%」で最多だった。2番目には「業界研究をして興味を持った」が「29.8%」、僅差で「商品やサービスのユーザーとして興味を持った」が「29.6%」と続いた。

同社では、

「理系学部生で『大学入学前から志望していた』が半数を超え(51.4%)、就職を見据えた進路選びをしている学生が多いことがうかがえる。理系院生では『ゼミや研究室で専門的に学んだことで』が6割強に上り(65.7%)、研究分野の専門性を生かした就職を考える学生が多いことがわかる。文系は『ユーザーとして興味を持った』が理系に比べ高い」

という。

最後に、自分たちの就職活動の厳しさが前年度の先輩たちと比べてどうなるかを聞いた。すると、「非常に厳しくなる」が「16.3%」、「やや厳しくなる」が「42.8%」で、合わせて「59.1%」がネガティブな回答だった。一方で「楽になる」と答えた学生は計6.5%(やや楽になる6.2%/非常に楽になる0.3%)にとどまった。就職環境は改善傾向にあるものの、楽観視している人は少ないようだ。