6月も過ぎ、企業では新入社員研修も終わって配属された部署でOJTしているころだろうか。では、そんな新入社員の胸の内とは?

マイナビ(東京都千代田区)が2023年6月16日に発表した「2023年新入社員のキャリア意識調査」によると、新入社員が不安に感じていることは「仕事がうまくこなせるか」、「上司・先輩・同僚との人間関係」、「環境の変化に対応できるか」などがあり、始めたての仕事にまだまだ不安があることがわかった。

また、先輩からは「優しく接してほしい」の「52.9%」、「どちらかといえば優しく接してほしい」は「39.5%」となり、あわせて「92.4%」がやさしく接してほしいと回答。同社では、今の世代は対面式の接遇に不安を感じている傾向があるとしている。

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この調査は、2023年3月17日から4月19日までの間、マイナビ研修サービスが提供する新入社員研修に参加した新入社員6509人を対象に記入選択式アンケートを実施したもの。

はじめに、「あなたが今、会社で発揮できる力はどのような力だと思いますか」と問いかけた。すると多い順で、「相手の意見を丁寧に聞く力(傾聴力)」が「45.6%」、「物事に進んで取り組む力」は「40.5%」、「社会のルールや人との約束を守る力」は「23.1%」、「目的を設定し、確実に行動する力」は「23.0%」という結果になった。

経年の変化を見てみると、「相手の意見を丁寧に聞く力」と「物事に進んで取り組む力」は2019年度には50%を超えていたが、年々減少傾向にある。

続いての質問では、「これからの自分に必要だと思う力は何ですか」と聞くと、「自分の意見をわかりやすく伝える力」(37.7%)、「他人に働きかけ巻き込む力」(31.0%)、「新しい価値を生み出す力」(26.6%)、「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」(23.6%)の順番になった。

つぎに、社会人生活への「期待の度合い」を聞いた。「期待している」と答えた人は、前年比2.4ポイント減の「68.3%」(かなり期待している:32.2%、どちらかといえば期待している:36.1%)となった。2019年から2022年における調査では、「期待している」が増加傾向だったが、2023年は減少に転じた。

一方で、社会人生活に感じている不安を聞くと、最多は「仕事がうまくこなせるか」で前年比1.9ポイント減の70.2%となった。前年比で増となっているのは、「上司・先輩・同僚との人間関係」が前年比0.9ポイント増で「58.1%」。

「やりたい仕事ができるか」が前年比1.1ポイント増の10.1%で、人間関係やキャリアビジョンに対する不安が増加しているようだ。

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また、「先輩にはどのように接してほしいか」について質問。「優しく接してほしい」は「52.9%」、「どちらかといえば優しく接してほしい」は「39.5%」となりあわせてが「92.4%」が先輩からは優しく接してほしいと答えた。これは昨年比で0.5ポイントの増加となった。また、「厳しく接してほしい」が「6.7%」、「どちらかといえば厳しく接してほしい」は「0.9%」で「7.6%」となった。

同社ではコロナ禍以降の傾向について次のように分析する。

「2021年以降、『優しく接してほしい』と回答した割合は2年連続で増加傾向にある。
特に、2023年入社の新入社員はコロナ禍では長期的なオンラインコミュニケーションが『ノンバーバルコミュニケーション(表情や目線の機微などで伝わる、相手の感情表現』を阻害していたことが考えられ、対面でのOJT指導や職場でのコミュニケーションなどで厳しくされることに抵抗があるのではないかと推察される」

さらに、上司や先輩との関係について、特に指導してほしいことはどんなことか聞いた。すると結果は、「仕事の進め方や基本」が「80.1%」(前年度比1.1ポイント減)、「専門知識」が「48.9%」(前年度3.1ポイント減)、「マナーや社会常識」が「35.9%」(前年度0.7ポイント減)という順になった。「コミュニケーション能力」(22.6%)や「人間関係の構築方法」(17.4%)などが上位3つから続いている。

引き続き、出世と給料に関する質問に移った。

2023年度新卒学生に「出世したいですか?」と聞いてみると、「出世したい」が「44.9%」(前年度2.1ポイント減)、「どちらかといえば出世したい」が「44.3%」(前年度比0.1ポイント減)という結果になり、あわせて「89.2%」の新卒学生が出世を目指していることがわかった。

同社では、数値の変化について「2019年以降は増加傾向であったが減少に転じた」と説明している。

また、30歳時点でどのくらいの年収が欲しいかを聞いてみた。その結果は、多い順に「500万円台」が「25.5%」、「600万円台」が「22.1%」、「400万円台」が「16.7%」となり、「400万円台」は前年度比1.6ポイントの減であるのに対して、「1000万円台以上」は1.5ポイントの増加という数値になっている。