長引く巣ごもり生活で、慢性的な便秘に悩む人が増えている。

「便秘の原因は、運動不足や食生活の乱れのほかにも、自粛のストレスなどで自律神経のバランスが乱れて、正常な腸のぜん動運動が起こらないというストレス性のものもあります。

今のコロナ禍は、便秘になりやすい条件がそろっていることが考えられます」

そう指摘するのは、国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長で『ねじれ腸 落下腸 滞った便がグイグイ出てくる快うんマッサージ』(主婦の友社)の著者の水上健先生。

水上先生は、国内外の医療現場で導入されている無麻酔大腸内視鏡挿入法「浸水法」を開発し、2万人以上の「大腸」を内視鏡で診てきた内視鏡のエキスパート。

欧米人の大腸は四角形をしているが、それに比べて日本人は途中でねじれる「ねじれ腸」や、真ん中が落ち込む「落下腸」など、腸の形がゆがんでいる人が多いという。その数は約8割も!

「まっすぐ伸びているはずの大腸がらせん状になったり、ねじれたりすると、途中で便がつまった便秘の状態になってしまいます。これまで検査した人のなかで、ねじれ腸、落下腸の人は8割います。いずれも日本人特有の状態で、親子、きょうだいで似ることも多く、生活習慣というより遺伝と考えられています。もともと腸がねじれているところに、長引く巣ごもり生活が重なっているので、より便秘になりやすい環境にあるということです」(水上先生、以下同)

まずは、自分が「ねじれ腸」にあてはまるかどうか次のチェックリストで確認しよう。

【自分でできる“ねじれ腸・落下腸”チェックリスト】

(1)子どものころから便秘だった
(2)腹痛を伴う便秘になったことがある
(3)便秘の後、下痢や軟便になったことがある
(4)運動量が減った途端、便秘になったことがある
(5)運動しても便秘が改善されない
(6)立ち上がると、あおむけのときと比べて下腹がぽっこり出る

判定:1~4でYesが2つ以上なら「ねじれ腸」の可能性が高く、5、6でYesが1つ以上あると「落下腸」の可能性が高い。

ラジオ体操の「ねじる動作」が便秘を改善

ねじれ腸には、排便するときに腹痛を伴うという特徴があるという。便がねじれた場所にひっかかりつまっているので、運動をして腸がゆらされると、つまりが解消されて出やすくなる。

「ねじれ腸」が原因の便秘だと気がつかないで便秘薬に頼ってしまうと、かえって腸内環境を悪化させてしまうので注意が必要。

「便秘は肌トラブルなどさまざまな不調のもとです。

便秘がちの人のほうが寿命が短くなるといったデータもありますし、腸閉塞の原因になることもあります。便秘だけでは大腸ポリープや大腸がんになりやすい、ということはありませんが、週2回以上下剤を使っている人は、大腸がんの発症率が3倍になるという報告があります。『ねじれ腸』や『落下腸』の人は放っておかないで、便秘を改善させたほうがいいでしょう」

そこで、水上先生が勧める体操はラジオ体操第1の「上体ひねり」と、「腸の押し上げ」の2つ。

【上体ひねり】横行結腸から下行結腸の曲がり角をゆるめる

(1)足を開いて立ち両手を広げる

足を肩幅よりやや広めに開き、ぐらつかない姿勢を取り、両手を左右に大きく広げる。

(2)上体を左右に大きくひねる

腕の力を抜き、ブーン、ブーンと左右に大きく回しながら、上体を大きくひねる。ひねるときに息を吐くのがコツ。

これを1分間続ける。

【腸の押し上げ】骨盤内に落ち込む大腸を持ち上げてゆらす

(1)あおむけに寝てひざを立てる

あおむけに寝て、足を腰幅程度に開き、ひざをそろえて軽く立てる。布団の上でリラックスして行うと腹筋がゆるみ、腸に刺激が届きやすくなる。

(2)左右の太もものつけ根に両手をあてて、へそ方向に持ち上げてゆらす

両手の指をそろえて、右もものつけ根に右手、左ももつけ根に左手をあてる。おなかがへこむくらいの強さで、大腸を持ち上げるイメージでへそ上まで持ち上げる。中央、左寄り、右寄りと位置を変えながら、押し上げるようにゆらす(拍動している動脈は触らないように)。

これを1分間続ける。

「朝起きてごはんを食べる前にやると、食べた後の腸のぜん動運動の助けになります。運動というと歩くことを想像するかもしれませんが、体をねじる『上体ひねり』運動が有効です。特に、ねじる動作が多いラジオ体操はおすすめです。『腸の押し上げ』は、グイグイ押すのではなく、おなかの左側や下腹部を両手の指先でトントン刺激する程度にやさしくマッサージしましょう」

毎日の「ねじれ腸・落下腸」改善エクササイズを習慣づけて、今度こそ巣ごもり便秘とおさらばしよう!

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