ついに放送がスタートした連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(月~土8時~8時15分、12時45分~13時〈NHK総合〉ほかで放送中 ※土曜日は1週間の振り返り)
制作発表当時に話題になったのが、連続テレビ小説史上初となる“3人のヒロイン”が登場すること。そしてタイトルに興味をもった人も多いことだろう。
「かつて戦後の日本を席巻したNHKラジオ英語講座・通称『カムカム英語』のオープニング曲のタイトルが『カムカムエヴリバディ』でした。『証城寺の狸囃子』のメロディにのって歌が始まると、日本中の子どもからお年寄りまでがくぎ付けになり、明るい声に励まされたのです」
その番組で英語講師を務めていたのが、今回さだまさしが演じる平川唯一氏。今作はオリジナル脚本だが、その中でただ一人実在した人物をモデルに描かれているのが平川氏だ。
「戦後、一世を風靡した英語講座でしたし『カムカムエヴリバディ』という言葉自体も明るく、語感もよいのでタイトルに選びました」(堀ノ内さん・以下同)
そして3人のヒロイン、安子(上白石萌音)、るい(深津絵里)、ひなた(川栄李奈)の3世代がバトンを渡すような形で描かれていく。ヒロインがオーディションで決定するのは’18年の『半分、青い。』(主人公/永野芽郁)以来で、上白石と川栄は応募総数3,061人のなかから選ばれた。
「4度にわたる選考会と、4カ月にわたる議論を重ねた末、最終的にお2人に決定しました。深津さんに関しては、役柄から30~40代の方をキャスティングしようと考えていました。深津さんはずっと活躍を続けてこられた、多くの人にとって憧れの存在です。ありがたいことに受けていただきました」
■3人のヒロインたちは“普通に暮らしている人”
ドラマを彩り、初回から最終回まで物語を見守り続ける「語り」も“朝ドラ”には欠かせないエッセンス。
「語りには、英語をネイティブのように話すことができて、かつ日本語を美しく表現できる方を条件に探していました。この条件を満たし、さらに高い表現力をもっていらっしゃる城田さんに担当してもらえるのはとてもうれしいですね。僕自身が、もともと城田さんのファンだったんです(笑)」
物語の大きなキーワードが『ラジオ英語講座』だけに、語りの城田をはじめ、出演者も英語を話すシーンが登場する。
たとえばヒロインの安子が出会う雉真繊維の長男・稔(松村北斗)も英語が話せる設定であるため、英語の指導を受けた。登場はまだ先だが、英語講師・平川唯一のさだまさしには、その役柄もあって特訓(?)が行われたそう。
「さださんは、英語のせりふの量がとても多いのですが、とてものみ込みが早かったです。ミュージシャンという職業柄、音感がよいのでしょう」
ちなみにさだにオファーをした経緯は「存在感が、現在の日本における平川さんだと思いました」と、堀ノ内さんは説明する。
「平川さんは、終戦間もない日本を明るくしたいという思いを抱いていました。英語がわからない人でも平川さんの声を聴いて元気になることができたそうです。現在のコロナ禍で、日本を明るくしてくれる方はどなただろうと思ったとき、最初にさださんが思い浮かびました。あと、平川さんと見た目が似てらっしゃるんです」
最後に、堀ノ内さんに改めて見どころを聞いたーー。
「『カムカムエヴリバディ』の3人のヒロインたちは、何かを成し遂げた人物ではなく、普通に暮らしている人たちです。恋、仕事、結婚……。いくつもの壁にぶつかりつつも、自分らしく人生を切り開いていきます。母、娘、孫の3世代の100年を描くので、展開が早く感じられると思います。ぜひ、楽しみにしてください」