望まぬ結婚をさせられた源頼朝の元恋人・八重。切なげな表情で、川の対岸を見つめている。

その視線に気づいた頼朝の正室・北条政子は、勝ち誇った満面の笑みで、“恋敵”に手を振ってみせたーー。

視聴者の間で“怖っ!”と話題になったNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、第3回の一幕だ。

強烈な存在感を放つ北条政子を演じるのは、小池栄子(41)。複数の賞レースを制し、今や数多くの監督・演出家に絶大な信頼を寄せられる小池の演技力は、どのようにして磨かれたのか。

その秘密の一端は、かつてプロレスラーとして活躍し、引退後の現在は小池の個人事務所社長を務める夫・坂田亘氏(48)による“家庭での修業”にあったーー。

「2002年、後楽園ホールに試合を見に行った小池さんが、『あの人カッコいい!』と坂田さんに一目ぼれ。

後日、共通の知人だったプロレスラーの故・橋本真也さんに食事会を開いてもらい、小池さんが『好きなんです!』と猛アタックして交際が始まりました。当時名古屋を拠点にしていた坂田さんの元に、彼女は休みのたびに駆けつけていました」(プロレス関係者)

だが、すんなり結婚できたわけではない。当時から坂田氏といえば、“昭和の男”を地で行くドSぶりで知られていた。

「坂田さんは常に男らしさや、強さを前面に打ち出すタイプで、物の言い方もストレート。リング外でも、それは一貫しています。

交際当初、小池さんが彼を両親に紹介する食事の場で、『お義母さん、これおいしくないっすわ。

僕はこれ食べられないです』と坂田さんが言い放ち、小池さんのお母さんが激怒。

そうしたこともあって、なかなか2人の結婚について首を縦に振らず、交際6年目の2007年に、小池さんが両親の反対を押し切る形で結婚したのです」(前出・プロレス関係者)

結婚後、夫のドSな物言いは幾度も小池を傷つけたことがーー。

「小池さんはテレビでも公言していますが、『お前、寝顔がネコブタみたいだな』とか、廊下ですれ違いざまに『気持ち悪!』と、女性じゃなくても傷つくような言葉をかけられるのは日常茶飯事。ケンカすると1週間まったく口をきいてくれないこともあるそうです」(テレビ局員)

■夫の店でけなげに小池が手伝う姿も…

坂田氏は小池に、過酷な減量トレーニングを課していたこともあったという。

「グラビアの仕事をしていたころ、小池さんは太りやすい体質に悩んでいました。坂田さんと結婚してからは、夫婦一緒にジムに行くようになったのです。

トレーニングする小池さんを、『もう5回 あと10回!』という具合で、坂田さんはどんどん追い込むんです。はじめはそんなシゴキに悲鳴を上げていた小池さんも、いまでは体を動かすことが嫌いじゃなくなったそうですよ」(スポーツ紙ベテラン記者)

夫のスパルタぶりを受け入れられるのは、愛ゆえなのかーー。

「坂田さんは現役時代から、プロレスファンの間でもイケメンとの呼び声が高かった。小池さんも、なんでこんな男と……と思ったことは何度もあるとか。でも、顔を見ると好きだから、結局いやなことがあっても許しちゃうそうです」(演劇関係者)

かつて坂田氏が手がけていた飲食店で、小池がけなげに支える姿もよく見られていたという。

「現在はすべて閉店しましたが、結婚前から坂田さんは飲食店をいくつか手がけていました。

営業していた当時、小池さんがお店に立って手伝う姿をよくお見かけしましたね」(芸能プロ関係者)

出会ってからずっと坂田氏の後ろをついていった小池だが、交際3年目のころに“別れ”がよぎったこともあったと、結婚翌年のインタビューで明かしている。

《その時期を乗り越えた頃から、お互いに信頼が深まりました。(中略)出会って、スパルタな“坂田塾”に入門し、結婚と同時に卒業した感じ》(『婦人公論』2008年8月7日号)

だが卒業と思いきや、“スパルタ塾”はずっと続いていたのだ。

3月上旬、東京都内の皮膚科クリニックの前で、本誌記者が見かけた夫妻の様子にも、“愛”が見て取れた。クリニックの外で、ゴルフのスイングをまねしたり、知人たちと談笑している坂田氏。

そして、40分ほどして小池がクリニックから出てきたとき、迎えの車の後部座席に先に乗り込んだのは坂田氏だった。

しかし、妻が診察を受ける間、彼は外でずっと待っていたのだーー。

「結婚から14年がたち、小池さんが一方的に尽くすばかりの関係ではなくなっています。坂田さんは一応社長なのに、小池さんの現場には必ず同行し、台本もしっかりチェックされているそうです。

小池さんは、北条政子をずっと演じたかったそうですよ。1979年の『草燃える』で政子を演じた岩下志麻さんを見て研究したと聞いています。坂田さんを立てつつ、肝心なところは自分が切り盛りするというところに、自分と政子を重ね合わせているのかもしれません」(前出・演劇関係者)

夫の死後、鎌倉幕府に君臨した希代の“猛妻”、北条政子。

ドSな夫とともに、小池は新たな“尼将軍”像を作り出せるかーー。