8月1日、NPO法人日本吃音協会が『水曜日のダウンタウン』(TBS系)に抗議文を送ったことをTwitter上で発表し、波紋が広がっている。

同協会が問題視したのは、7月6日に放送された番組企画「説教中の『帰れ!』額面通り受け取るわけにはいかない説」。

この企画では、お笑い芸人のチャンス大城(47)に説教された後輩芸人のインタレスティングたけし(42)が、しどろもどろになるシーンが映し出された。

同協会は、Twitterを通じて《件の放送内容は、吃音者に対する差別と偏見を助長するものであり、再発防止と番組制作の基準・指針の見直しを要求しました》とコメントを発表している。

番組VTRでは、大城とたけしが飲食店の個室で向き合って座るところからスタート。冒頭でたけしは、「めめめ面談 面談に来たみたい…」とコメント。番組テロップにも、たけしがしどろもどろに発した言葉がそのまま表示された。同時に、この様子をスタジオで見ていた霜降り明星の粗品(29)が、「変な奴や」と繰り返す姿もワイプで抜き出された。

大城は食事をしながら、たけしに「前、アルバイトの面接12回連続落ちたやん」と指摘。たけしはアルバイトの面接前には大城の自宅に寄っていたといい、大城は「ネクタイの絞め方、俺が全部ネクタイ締めてたやん」と回想した。

大城が「1人で(ネクタイ)を締めれるようになったの?」と問うと、たけしは「まだ締められない…」とコメント。すると大城は「なんでやねん、お前」とツッコみ、持参したネクタイをたけしに差し出した。このネクタイの話題を皮切りに、大城はたけしに「心配でさ」「万が一、葬式あったらどうすんねん」と猛説教。

すると、おぼつかない手つきでネクタイを締めようとするたけしに、「ホンマ腹立ってきたわ。

もう帰れ、お前ホンマ」と退席を促したのだった。

しかし、たけしは帰る様子を見せず、最後は大城が「今うんこ漏らしてるやろ!」と言いがかりをつけ、開始から13分21秒でたけしを退席させたのだった。

「この企画の趣旨は、先輩が後輩を説教するなかで発した『もう帰れ!』との言葉で、どれだけ早く後輩を退席させられるかを検証するもの。8月2日に配信された『スポニチアネックス』の記事によると、大城さんとたけしさんの出演シーンに対して一部ネット上では『吃音を笑いものにした』などと批判の声が上がっていたと伝えられています」(テレビ誌ライター)

■日本吃音協会が抗議した理由とは?

しかし、日本吃音協会が同番組に抗議したことに対して、ネット上では懐疑的な声も上がっている。

《番組を見ていましたが、この抗議は本当に理解に苦しむ。決して「差別と偏見を助長」しているようなものでは無かった》
《インタレスティングたけしさんの芸人生命を奪わないでもらいたい。視聴していたが、吃音者を冒涜している事は決してなかった。またその喋り方にチャンス大城がさんが、突っ込んでいた訳でも無かった》
《番組内では吃音というワードがそもそも出なかった気が…どこをどう捉えて差別を助長しているとなったのか。特別視するのはむしろ差別になるのでは?》

加えて、当のインタレスティングたけしは2日、同協会のツイートを引用し、《またテレビジョン出たい!!》と呟いているのだ。

果たして、同番組のどの部分が「吃音者に対する差別と偏見を助長するもの」と判断されたのか? そこで本誌は、同番組に抗議文を送った理由を同協会に問い合わせてみた。すると、担当者から文書で回答があった。

――番組企画に対して、具体的にどの部分が「吃音者に対する差別と偏見を助長するもの」だったのでしょうか?

「放送内容が、吃音者に対する差別と偏見を助長するものと判断したため、再発防止の観点から番組制作の基準および指針の見直しを求めたものでしたが、具体的には番組の制作サイド側の演出に、

・テロップに吃音の連発表現がある
・「変なやつやな」と芸能人のコメントがある

等々があり、この番組を見た特に10代、20代の吃音の当事者への心理的な負担を増やす可能性があることを危惧しました。

また、当番組を視聴した視聴者が吃音=笑っていいと誤って認識することによる吃音を持つ子供たちへの二次被害を大変憂慮しました」

――インタレスティングたけしさんは、芸人として活動されています。ご本人も「またテレビに出たい」と意思表示をしており、ネット上では“抗議によって活動の場がなくなるのではないか?”“本人が望んでいるのに失礼”といった貴協会に対する批判もあがっています。このことについて、どのように受け止められますか?

「インタレスティングたけしさんは、私も大好きなお笑い芸人さんのうちの1人ですし応援をしています。今回の抗議内容は、あくまでも番組の制作側の意図やその企画構成が原因となり結果として全国の吃音当事者へのいじめや精神的被害につながりうる不適切なものでしたので、再発防止の観点から番組制作の基準・指針の見直しを求めたものです」

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