2022年も残すところあとわずか。今年、日本中に震撼が走った出来事といえば、7月8日に発生した安倍晋三元首相(享年67)の銃撃事件ではないだろうか。

奈良市での演説中に、山上徹也容疑者(42)が撃った凶弾に倒れた安倍氏。山上容疑者はその場で取り押さえられ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。

「山上容疑者は取り調べに対し、母親が統一教会(現在は世界平和統一家庭連合)に多額の献金をしたことで経済的に困窮し、教団に恨みを抱くようになったと供述。教団の関連団体に安倍元首相がビデオメッセージを送っていたことを知り、安倍元首相と教団の関連を疑い、犯行に及んだとのことです」(全国紙記者)

逮捕後は勾留先の奈良西警察署から大阪拘置所に移送され、鑑定留置が続けられてきた山上容疑者。複数のメディアは12月24日に、奈良地検が山上容疑者に刑事責任能力があると判断し、来年1月に殺人罪で起訴する方針を固めたと報じた。

捜査が進むいっぽうで、山上容疑者を“擁護”する人たちも後を絶たなかった。

「いわゆる“宗教2世”である山上容疑者の境遇に、自らの経験を重ねたり同情したりする人もいるようです。さらに9月の時点で、100万円を超える現金や衣類、食料品などが大阪拘置所に差し入れられたというのです。あまりの量の多さに、一部は弁護人を通じて親族宅に届けられたそうです」(前出・全国紙記者)

12月27日に公開された『デイリー新潮』の記事では、山上容疑者宛に支援者から“ファンレター”が届いていることを山上容疑者の伯父が証言している。

■「でかした」「山上様」と絶賛する漫画家も

いっぽう、安倍元首相の国葬が執り行われた9月27日に合わせて、山上容疑者を題材にした映画『REVOLUTION+1』が全国各地のミニシアターなどで順次公開された。一部では抗議によって上映中止とした映画館もあったが、本作公開をきっかけに山上容疑者を絶賛した著名人もいた。

国葬前日の同月26日、東京・新宿のトークライブハウス「LOFT/PLUS ONE」で上映イベントが開催。

トークイベントに、本作を手掛けた足立正生監督らが出席した。10月2日にYouTubeチャンネル『Movie Iwj』でアップされた動画では、トークイベントの模様が公開されている。

トークイベント中盤では、会場の観客から意見を求める一幕も。客席に座っていた『キスより簡単』などの著書を持つ漫画家・石坂啓氏は、指名されると立ち上がってこう語った。

「こんにちは、漫画家の石坂です。すごく楽しみにして来ました。

事件を最初にテレビで見たときに、うちでは『でかした』って言ったんですね。私と夫は『山上様』って呼んでます」

さらに、署名サイト『Change.org』で7月15日から始まった検察庁長官宛の「山上容疑者への減刑を求める署名」は、現時点で10,100 人以上の賛同者が(27日20時時点)。今もその数は増え続けており、賛同者からは次のようなコメントが寄せられている。

《この人がいなければ 被害者が増える一方だった》
《ニュースを見るたびに切なくなります。今からでも幸せになってほしいです》
《それがどんな人であれ、命を奪う行為は許されません。しかし、それによって、日本の政治と宗教、またその両者の関係が正されつつあることもまた、確かです。

さらに、彼の悲惨な過去に大いに同情せざるを得ません》

一定数の支持者がいることも明らかになった山上容疑者。しかしたとえどんな過去があったとしても、犯した罪は償わなければならない。彼自身はこの先、どのように自らの罪と向き合っていくだろうか。