NHKジャニーズ事務所の所属タレントに対して新規の出演依頼を行わないと発表したことで、例年以上の“目玉不足”が指摘されている『NHK紅白歌合戦』。そんな窮地の紅白を救う存在として、出場に期待の声を寄せられている大御所が――。

松田聖子(61)だ。

「聖子さんはデビュー以来、紅白に24度も出場し、老若男女から愛される日本を代表する歌姫。また9月に終えたばかりの全国ツアーで、ドラムを叩きながら歌うという新機軸のパフォーマンスを披露していますし、もし出場すれば今年の目玉になることは間違いないでしょう」(音楽関係者)

そんな聖子だが、’20年末の『紅白』を最後に出場していない。’21年12月18日に実の娘である神田沙也加さん(享年35)を喪うというあまりにも悲しい出来事が。同年末の『紅白』への出場を予定していたが辞退し、翌年も出場していない。

そして、出場が期待される今年も乗り気ではないという――。

ある音楽関係者は言う。

「沙也加さんが亡くなって以来、聖子さんはコンサートやディナーショーには取り組んでいるものの、未だテレビ番組でのパフォーマンスは見せていません。それだけに、注目度も高くゆかりの深い『紅白』で聖子さんの復活した姿を見たいという声は非常に多いです。

しかし、同時に『紅白』のステージは、沙也加さんと共演したこともある思い出の場所。出たい気持ちもあるようですが、沙也加さんがいないことを痛感させられる懸念も感じており、聖子さんも躊躇しているようです」

沙也加さんとの突然の別れから2年が経とうとしているが、この間聖子は気丈にふるまい続けてきた。

■“再起”を決意させた沙也加さんとの思い出

’21年12月18日、突如飛び込んだ沙也加さんの訃報

聖子は公演中だったディナーショーの残り公演をすべて中止。21日に札幌市内で行われた葬儀後の囲み取材には声を震わせながらコメントしたが、出場予定だった『紅白』も含め、以後一切の芸能活動を休止していた。

悲劇から3カ月足らずの’22年3月7日、聖子は中止したディナーショーの振替公演と全国ツアーを6月から開催すると発表。しかし、悲しみが癒えたわけではなかった。

発表と同時に配布されたファンクラブ会報誌の中で、聖子さんは4ページにわたって沙也加さんへの思いを告白していたのだ。そこには、沙也加さんの死を受け入れられず”もう前に進めないと思ったこともあった”と切実な心境がつづられていた。

しかし同時に、活動再開を決意させたのも沙也加さんの存在だったことも明かされている。聖子は沙也加さんとの思い出を振り返っているうちに“悲しんでいるだけではいけない”との思いに至ったという。

本誌は、3月上旬に聖子が沙也加さんと二人でよく訪れていたという思い出のデパートに赴く現場を目撃している。母娘の思い出の地を訪れることで、再起への決意を強固なものにしていたのかもしれない。

4月に行ったディナーショーの振替公演では「これからも、歌うことが好きだった沙也加と一緒に歌って参ります」と涙ながらに宣言。’11年の『NHK紅白歌合戦』で沙也加さんとデュエットした『上を向いて歩こう』を熱唱した。

そして9月3日には、3か月にわたって開催していた全国ツアーの千秋楽を日本武道館で迎えた。日本武道館は、沙也加さんと幾多の共演を重ねてきた会場だが、そこでも聖子は、沙也加さんのデビュー曲『ever since』を熱唱。「娘は天国に旅立ってしまいましたが、私の心の中ではずっと生き続けています」と涙ぐみながら話したという。

■「沙也加に会いたい!」時に涙を流すことも……

“私の心の中ではずっと――”。しかし、それでも時おり沙也加さんがいないことへの苦しみが漏れ出ることもあった。

「昨年11月に聖子さんは自身が監督を務めた映画の特別上映会とトークショーを開催しました。

トークショーで聖子さんは『天国はお花畑があって、とても良いところだと思うんです。だから、ヒロインも沙也加も幸せにしているんだ』と涙声で話し、最終的には『沙也加に会いたい!』と泣き崩れてしまったんです」(芸能関係者)

そうした悲しみにも負けず、12月14日からは予定通りクリスマスディナーショーを開催した聖子。同日、全国ツアーの様子を映像化したDVDと、沙也加さんの追悼ベストアルバムが発売になった。この同時発売について、デビューから聖子を知るカメラマンのYAHIMONときはるさんは、当時本誌の取材に対しこう語っていた。

「この同日発売は聖子さんの希望だったと聞いています。“サヤの歌は生き続けているから……”と言う聖子さんは、少しでも沙也加さんの歌声をファンの人に届けたいのです」

■9月上旬、本誌は聖子のほっそりとした姿を目撃

この年、期待された『NHK紅白歌合戦』への出場はなく、今日にいたるまでテレビ出演のオファーは全て断っているという聖子。

しかし、ファンの前では心を許せるのか’23年もコンサートやディナーショーついては精力的に開催しており、9月3日には全国5都市を回るツアーを終えている。

その直後の9月上旬、本誌は東京都内の高級住宅街にあるチェーンのコーヒーショップで、聖子を目撃。今後の活動に向けてだろうか、スタッフとみられる男性2人と話し込む聖子の姿はこれまでより痩せた印象だった。

ファン、そして沙也加さんのために気丈に活動を続ける聖子。今も悲しみを抱えながらも、前を向こうとするその姿勢を、日本中が温かい眼差しで見守っている。