「いやヤバいでしょ」のフレーズでおなじみの動画クリエーターチーム「マツダ家の日常」の関ミナティさん。関さんは100万回再生のショート動画を連発し、TikTokフォロワー630万人、YouTube登録者数1190万人という驚異的な数の支持を得ている。

ショート動画をバズらせる重要なポイントは動画の開始2秒にあると関さんは言う。視聴判断基準に使うサムネイル画像があるYouTube動画と違い、サムネイルがないショート動画の視聴者は動画の最初2秒で、見るかどうかの判断をしているという。よって普通は最後に出すインパクトのあるオチの映像を、あえて最初に使い視聴者を逃がさないようにするそうだ。

こういったノウハウを知り尽くしていることから、「マツダ家の日常」は今では大手企業からの仕事依頼を多数受け、企業のアカウントでショート動画や広告動画を発信し、数多くバズらせている。

そんなショート動画界の第一人者である関さんに、企画力、編集テクニック、オリジナリティなどにおいて一目置く注目のTikToker3人のおすすめ動画を紹介してもらった。

【1】「オムライス兄さん」(PPP STUDIO所属)

TikTokフォロワー81万人でオムライスに特化した動画を配信している「オムライス兄さん」。

『TikTok Creator Awards Japan 2023』において「Gourmet Creator of the Year」を2022年に続き連続で受賞した。

関さんのおすすめポイントは――

「オムライスを作っている途中の顔が腹立つとかドヤ顔が腹立つとかで反響を呼んでいます。視聴者からコメント欄に来たお題を使って、オムライスを作るとかが人気なんです。

オムライス兄さんの凄いところは、普通オムライスの動画だけをやろうと思ったら、何個か作ったらやることがなくなってくるじゃないですか。それを無限のパターンでずっとやり続けているところ。

たとえば、オムライスを使ってテレビ番組『芸能人格付けチェック!』(朝日放送テレビ朝日系)のパロディをしたり、いろんな人とオムライスでコラボしたりと、オムライスという1ジャンルだけを軸としてどこまでいろんなことができるかというのをいちばん伸ばした人かなと思います。

あとは撮ってる画角やカット割りのスピードとかも、めっちゃうまいんですよ」

【2】「しなこ」

TikTokフォロワー150万人で、ASMR(スナック菓子をかむ音や、麺をすする音、包丁でサクッと切る音、紙に鉛筆でガリガリ書く音などを聞かせて聴覚を刺激する動画のジャンル)で大人気。バズりスイーツを作る原宿系クリエーターでもあり、スイーツのプロデュースも行っている。ベビタピ原宿店では「スポンジケーキ」という、一見食器洗い用スポンジのようなケーキが大人気。

関さんのおすすめポイントは――

「グミやマシュマロなど、いろんなものを食べるASMRが人気で最初は出てきたんです。でも、しなこさんの動画はASMR だけじゃなく、髪型や背景や食べる物で、自分の世界観をちゃんと作っているんです。

実際に原宿でお店もやっているんですけど、TikTokの中だけに収まらず、お店を出すところまでいって成功しているのが素敵やなと」

【3】「田舎民カイジ」

TikTokフォロワー18万人。

田舎をテーマに「これがあったら田舎確定なお店」「田舎あるある」など、実際に田舎で生活して紹介する動画が人気。坊主頭に白いタンクトップ姿で、田舎のなまり言葉を話すキャラクターはインパクト大。

関さんのおすすめポイントは――

「この子が出てきてすぐの3、4本目の動画ぐらいから、100%のびるなというのがありました。田舎に住みつつ田舎あるあるを言うんですけど、その編集能力が高いんですよ。縦動画に特化した編集が、ものすごくうまい。

あとは展開も早いので、視聴者が動画をとばすタイミングがないですよね。

そして、この子のすべてを表しているなと言うのが、『ヒラヒラ帽子おばあちゃん』のテロップですね」

「木がテロップより前にあるから、テロップが少し隠れていますよね。もしテロップが前に来てたら、視聴者の頭の中がおばあちゃんよりテロップになっちゃうんですよ。この「おばあちゃんがメインやからテロップは後ろ」っていう感覚を理解して作っているのが凄い。分かりにくいですが、このことに見ている人もどっかで気づきます。

おばあちゃんがメインになっているんで視聴者も見てて気持ちいいと思うんですよ。

こういったことに気づける作り手だから、再生回数ものびているし、クリエイターとして絶対に成功するなと思います」

バズっているTikToker研究して、自分だけのオリジナルコンテンツを探そう。

(取材:インタビューマン山下)