「毎日が発見で、本当に楽しかった。これから、女性としてもどんどんおもしろいことができるようになると期待しています」



そう語るのは、石田衣良初の恋愛小説を舞台化した、松坂桃李主演の舞台『娼年』に出演している女優の須藤理彩(40)。

舞台の脚本・演出を手がけるのは、『激情』(’04年)、『愛の渦』(’05年)で演劇界に一大旋風を巻き起こした三浦大輔だ。



「原作を知っている方でも、『舞台でここまでやっちゃうんだ!』と衝撃を受けるそうです。性の話って、ふだんなかなかオープンにできないものだからこそ、演じる私たちが目の前で恥ずかしいことではないとさらけ出すことで、見る人の気持ちが解放されるみたい」



須藤が演じるのは、静香(高岡早紀)が経営するボーイズクラブの娼夫となった領(松坂桃李)を買う女性客の1人、イツキ。松坂をはじめ出演者がみな官能シーンを体当たりで演じる本作はR-15指定。なかでもイツキは、特異な性的嗜好を舞台上であらわにする。



「性的嗜好という部分では、最初、イツキのことをまったく理解できなかったんです。

でも、稽古を重ねていくうちに、これは性的なことではないんだ、と。コンプレックスとか、人に大声で言えないものを唯一、受け止めてくれる相手に出会えた喜び、ようやくさらけ出せるという精神的な部分で共感できました。松坂さんは、領そのものじゃないかと思ってしまうほど、すべてを受け入れてくれるという安心感があります。『どうぞ話して、大丈夫だよ』って表情をされると、涙があふれてくる。芝居で心が動かされているのか、私自身が癒されちゃっているのか。舞台上で、心がすごく震えるんです」



そんな彼女もこの夏で40歳。

チャレンジ精神が旺盛になったと話す。



「若いときは、自分のイメージを壊したくなくて、どこかで守っていたと思うんです。でも、母親になったこともそうですし、40歳という節目を迎えて、つねに新しい自分を表現したい欲求が強くて。みなさんが驚くようなことにあえて挑戦したい。そういう意味でも今回、いいタイミングで、初めてイツキのような役をやれたことはとてもよかったと思っています」