「今は職業欄に、あまり抵抗なく『俳優』と書いていますが、書くのが恥ずかしい時期もあったし、若いころは『自由業』と書いたこともありました。『俳優』と書くだけの自信が、まだなくて。
そう語るのは、俳優の遠藤憲一さん(55)。映画やテレビドラマで大活躍の6人の名脇役。遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研(=五十音順)が「本人役」で出演している連続テレビドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京・金曜深夜0時12分~)が「おもしろすぎる!」「おじさんたち、かわいい!」と視聴者の間で大きな反響を呼んでいる--。
遠藤さんは’61年6月生まれで、東京都出身。高校を中退後劇団に入り、’83年、連続テレビドラマ『壬生の恋歌』(NHK)でデビュー。その後、映画、テレビドラマ、CMなど幅広く活躍。また、ドキュメンタリー番組やCMのナレーターとしても活躍している。私生活では、’90年に、元タレントで、現在所属事務所の代表兼マナージャーを務める昌子さん(56)と結婚した。
遠藤憲一(以下=憲一)「女房との出会いは25歳のとき。かつて所属していた劇団時代の知り合いが自主公演をやることになって、脚本と演出を任されました。その芝居に看護師役があって『こういうコがいるけど』と紹介されたのが女房です。それがきっかけで4年間付き合って、29歳で結婚しましたが、結婚しようと思ったのは本当に突然でした。
「あのとき、なぜ突然結婚しようと思ったのか、いまだによくわからないですね(笑)」と話す遠藤さん。「俳優」としてのターニングポイントは、’07年に個人事務所を立ち上げたことだった。
憲一「その数年前に、21歳のときからお世話になっていた事務所の社長に、高齢と病気を理由に『事務所は私一代でおしまい』と言われて。自分のことをいちばん知っているのは女房だし、うちは子どももいないので『マネージャーをやってくれないか』と言ったら、『絶対いや!』と。それでもお願いにお願いを重ねて、3年目にやっと『OK』をもらいました。そのとき彼女が言ったのは『これからは、私のやりたいようにやらせてもらいます』。だから、独立してからは自分の意見はほとんど通らない。女房に乗っかってここまできたという感じです(笑)」
遠藤昌子(以下=昌子)「事務所を立ち上げて最初にいただいた大きな仕事はNHK『風の果て』(’07年)という連続ドラマでした。それを見て『相当芝居ができる人だ』と見直して(笑)。
憲一「結婚して今年で27年になりますけど、女房は自分のことを『手間のかかる甥っ子』だと言うんです。『夫や息子と思えば腹が立つけど、甥っ子と思えばさほど腹は立たない』と言って(笑)。女房と自分をつないでいるのは、ある部分で信頼し合っているからだと思います。そういう意味では、おいそれとめぐり合えない間柄、自分にとって、彼女はそうはめぐり合えない人。ある種、奇跡の出会いでした。女房はどう思っているかわかりませんけど(笑)」
昌子「昔は、飲みに行って三日三晩音信不通になったこともあって『結婚相手を間違えたかな』と思ったこともありました。