子どもの友だちが家に遊びに来てくれるのは嬉しいことですが、頻度によっては負担に感じることも。ましてや、毎回お菓子やジュースを用意していると、金銭的な負担にもなります。


 今回お話を聞いたマキさん(仮名・35歳/専業主婦)も、頻繁に遊びに来る息子の友だちに悩まされたと話します。

小学校にあがってすぐに友だちがたくさんできた息子

週4で家に来る息子の友だちに「おやつ持参」をお願いしたら“ま...の画像はこちら >>
 マキさんは、1人息子のハルトくん(仮名)が小学校にあがるタイミングで一軒家を購入し、新しい場所へと引っ越しました。

 幼稚園時代の知り合いがいない土地で新たに友だちができるか不安だったマキさんですが、ハルトくんの持ち前の明るさで、すぐにたくさんの友だちができて安心したそうです。

 小学校生活にも慣れてきた4月後半頃から、徐々にハルトくんの友だちが家に遊びに来るようになりました。

「私は専業主婦で基本的には家にいるのでハルトもお友だちを呼びやすいらしく、いろいろな友だちが遊びに来てくれました。そのなかにいたのがAくんです」

友達の1人が週4で遊びに来るように

 初めて家にきたときから『ハルトのママ、お菓子ちょうだい』などと催促してきましたが、最初は『やんちゃでかわいいな』くらいにしか思わず、あまり気にしていませんでした。」

 しかし、それからAくんが家に遊びに来る頻度は高くなりました。初めのころは学校が終わってから遊びに来ていましたが、土曜日もくるようになったため週4日で遊びに来ることも。ときには、Aくんの妹のBちゃんも連れて来ることもあったそうです。


「Aくんは、毎回家にあがるやいなや『今日のお菓子は何?』『喉乾いたからジュースもちょうだい』などと催促するようになり、ちょっと図々しい子だなと感じるようになっていました。

約束もせずに家に来るように

週4で家に来る息子の友だちに「おやつ持参」をお願いしたら“まさかの展開”。後日母親がやってきて…
お菓子
 毎日のようにお菓子やジュースを用意しなければならず、金銭的に負担になっていたのも事実です。

 また、Bちゃんは年中さんの年齢だったので、平日は幼稚園に行っているのですが、土曜日は必ずAくんと一緒にわが家に来ていました。

 ハルトも『あれ? 今日もきたの?』とびっくりしていたので、約束もしていなかったようです」

 週3~4のペースでAくんが遊びに来るようになり、もうすぐ夏休みに入るタイミングとなりました。

 さすがに夏休み中も毎日のようにこられたら大変だし、お昼ご飯も用意しなければならなくなったらどうしようと考えたマキさん。幼稚園も夏休みに入るため、毎回Bちゃんも同伴となるとますます大変です。

お菓子とジュースの持参をお願い

 思い切ってAくんに「今度からは、自分のお菓子とジュースを持ってきてくれないかな?」と伝えました。

「ハルトはAくんと楽しく遊んでいるので、ハルトとAくんの友情を壊したくはないと思い、Aくんが嫌な気持ちにならないように優しく伝えました。


 そしたら、『なんで?』と返されてしまって……(苦笑)。『たくさん遊びに来てくれるのは嬉しいんだけど、毎日お菓子やジュースをいっぱい買うのは大変なの』と伝えると『わかった』と返事をしてくれたので、安心しました」

この1万円は何!?

週4で家に来る息子の友だちに「おやつ持参」をお願いしたら“まさかの展開”。後日母親がやってきて…
1万円
 翌日、ハルトくんが帰宅するとすぐに家のチャイムが鳴りました。Aくんが遊びに来たのかと思って出てみると、AくんとAくんのお母さんが立っていたそうです。

「Aくんのお母さんとは入学式や保護者会などで顔を合わせているかとは思いますが、私は1人息子の初めての小学校でわけもわからなかったので、顔を覚えていなくて……。実質、初めてお会いしたようなものでした。

 印象としては、木村多江さんのように落ち着いた感じの女性。しっとりとした笑顔で、大人の雰囲気でした」

 無難に「いつもお世話になっております」と挨拶をしたものの、なぜ来たのだろうと不思議に感じていたマキさん。


 Aくんのお母さんも「いつも息子や娘がお邪魔してしまって、すみません」と返したあと、マキさんの目の前に1万円札をスッと差し出し「今まで息子や娘がいただいた分のお菓子やジュースの分です」と言いました。

 マキさんはすぐに「いりません」と返しましたが、「これで、これからもこの子が遊びに来たときにお菓子を買う足しにしてください」と言うAくんのお母さん。マキさんが戸惑っているなか、1万円を強引に手渡してAくんとお母さんは帰っていったそうです。

お金で解決したかったわけではないのに

「Aくんがお母さんにどのように伝えたのかはわかりません。純粋に『今まで迷惑をかけたから、その分のお金を支払おう』という気持ちで1万円を用意してくれたのかもしれません。

 でも、もしかしたら『ハルトの家は毎日お菓子を買うお金がない』や『ハルトのママがお菓子を買うお金をほしがっている』と伝えたかもしれないので、どんな意図の1万円なのかわからないんです。


 どっちにしても、お金で解決したかったわけではないのに……とモヤモヤしました」

 その後、夏休みに入ってすぐにAくん一家はお父さんの転勤で遠くへ引っ越すことになり、転校していったのだとか。

 そのため、マキさんはそのときにもらった1万円は手を付けずに取っておいているそうです。

<取材・文/nami イラスト/ズズズ@zzz_illust>

【nami】
3人の子をもつママライター