女子SPA!で2024年2月に公開された記事のなかから、ランキングトップ5入りした記事を紹介します。(初公開日は2024年2月13日 記事は取材時の状況)

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【今日のにゃんこタイム~○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.133】

 猫の保護活動は、保護対象となる子の性格や警戒心の強さによって難航することも多いもの。


 そうした現状がある一方、ちまきなころんさん(@chimakinakoron)宅で暮らすイケメンくんは一風変わった経緯で家猫になりました。

 なんと、「保護してください」と言うかのように、ちまきなころんさんが玄関前で干していた捕獲器に自らイン! 自分の手で、「ずっとのおうち」を手に入れたのです。

天日干ししていた捕獲器に野良猫が自らインして……

干していた捕獲器の中に見知らぬ子猫が…!我が家に迎えると見せ...の画像はこちら >>
 個人で動物保護活動を続けている、ちまきなころんさん。現在は「よねっこはうす」という自身の保護猫シェルターにて、人のお世話を必要とする下半身麻痺などの猫たち約30匹のケアをしています。

 イケメンくんと出会ったのは、2023年11月上旬のこと。ちまきなころんさんは野良猫の捕獲時に使用した捕獲器を洗って、天日干し。翌朝、乾いた捕獲器を片付けようと外に出たところ、イケメンくんが中に入っていたのです!

干していた捕獲器の中に見知らぬ子猫が…!我が家に迎えると見せてくれた“微笑ましい光景”/2024年2月トップ5
イケメン猫
「人間って驚きすぎると頭が追いつかないんでしょうね。
一旦素通りして、絵に書いたような2度見をしました」

当初は去勢手術後、外に戻そうと考えていた

干していた捕獲器の中に見知らぬ子猫が…!我が家に迎えると見せてくれた“微笑ましい光景”/2024年2月トップ5
イケメン猫
 イケメンくんは当時、生後半年超えで1歳未満の幼猫。痩せてはいたものの、威嚇をする元気はありました。

「偶然にも数日前、動物病院で予約していた野良猫の手術をキャンセルしたばかりでした。その時の枠が空いていたので、即病院へ行き、ノミ・ダニ駆除とワクチン接種、去勢手術まで済ませたんです」

 当初は去勢手術後、外に戻そうと考えていました。しかし、「TNR」(捕獲器などで野良猫を捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す活動のこと)をしようにも、イケメンくんがもともと暮らしていた場所が分からなかったため、難しいと思ったそう。

「この状態で元の場所に戻すとなると、保護した自宅の敷地内に放すということになる。それなら家に迎えて、お世話をしたほうがいいだろうと思ったんです」

警戒心が強く、甘えたいけど甘えられない様子

干していた捕獲器の中に見知らぬ子猫が…!我が家に迎えると見せてくれた“微笑ましい光景”/2024年2月トップ5
イケメン猫
 こうして家族の一員となったイケメンくんはお外で厳しい暮らしをしていたからか、人間への警戒心が強く、今もなお抱っこやブラッシングが苦手。

 近付いてきても追うと逃げてしまい、甘えたいけど甘えられない様子です。


「でも、名前を呼ぶと振り向いてくれますし、ご飯をいれる時やトイレ掃除時、洗い物をする時などには、後ろから私を眺めています。あと、私の手が届くか届かないかのところで、5秒くらいゴロンとしてくれるようにもなりました」

つい猫じゃらしに飛びついてしまう日も

干していた捕獲器の中に見知らぬ子猫が…!我が家に迎えると見せてくれた“微笑ましい光景”/2024年2月トップ5
グイグイ来てくれることはあるものの、人間側から触られるのは苦手
 また、猫じゃらしを振ると、本能で飛びついてきて「しまった! うっかり、はしゃいでしまった……』という表情で、ちまきなころんさんの顔を見てくることも。

 そんなイケメンくんは人間相手にはまだ少し壁があるものの、同居猫たちとすっかり打ち解け、仲良しに。日常の中では微笑ましい光景を、たくさん見せてくれています。

保護できる猫は“一握り”という悲しい現実

干していた捕獲器の中に見知らぬ子猫が…!我が家に迎えると見せてくれた“微笑ましい光景”/2024年2月トップ5
イケメン猫
 焦らず、イケメンくんのペースに合わせて絆を育む、ちまきなころんさん。猫ファーストな日常を送るのは猫1匹の命を救うことがどれだけ難しく、尊いかを知っているからです。

「保護できる子は一握り。車に轢かれて命を落としてしまう子、腕の中で見送られる子などタイミングひとつで、猫の運命は変わります。
全員は保護できないから、せめてお外の子が飢えることがないよう、見守って貰えると嬉しいです」

 そう話すちまきなころんさんは猫のことを苦手な方こそ、一緒に活動してほしいと思ってもいます。

出会った猫たちの幸せを願いたい

 また、下半身麻痺など世間一般ではハンデと呼ばれ、「可哀想」という視線のみが向けられやすい子たちのお世話をする中で、そうした子たちの愛くるしさも伝えたいと思うようになりました。

「例えば、『歩けないから』と安楽死を希望する方も多いものですが、病気を持つ子と関わったことがなかった私でもお世話はできるようになりましたし、そうした子たちも他の猫たちと同じく、無邪気に元気いっぱい遊べます。もっと身近に感じてもらえると嬉しいです」

 自身が出会った猫たちの幸せを願い続ける、ちまきなころんさん。そうした優しさを感じ取ったからこそ、イケメンくんは自分を売り込みに行ったのかもしれません。

<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。
3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291