乳首……それは奥深きもの
へその緒がついたまんまの、生まれたばかりのネコを拾ったわたし。しかし、駆け込んだ動物病院の先生からは、「この子はミルクを飲む力が弱いかもしれない」と言われてしまったのです。なにがなんでも生かすべく、病院の帰りに速攻で動物のグッズが置いてある店を何件もはしごして、授乳用の乳首を買いました。とりあえずひとつ。
しかし、このときのわたしは、“ネコ用哺乳瓶の奥深さ”をまだ知らなかったのです……。
飲む力が弱いのか、うまく飲めない赤ちゃんネコ
保護した子ネコにミルクをあげたら、まっっっったくうまく飲めない。「飲む力が弱いなら」ということで、よかれと思ってぐりぐりと竹串で乳首の穴を広げてみたら、まあ大失敗。
「大きい穴がダメなら、小さい穴をいっぱいあければいいのでは?」という発想で、メインの穴の周りに針でいくつか穴をあけてみました。そしたらですね。
とんでもない結果に……思わず「ごめん」
見事な“乳首からシャワー”状態に。ミルクを浴びる赤子ネコ。え、なんかごめん。
しかし、人生で初めてネコを飼った人間、しかもへその緒がついたまんまの赤ちゃんネコが急にやってきた私にとって、本気で大真面目によかれと思って乳首の穴と格闘し続けたのです。
結果、トライ&エラー、創造と破壊を繰り返し、Amazonで乳首を買いまくり、絶対1万円近くは散財した。本体とセットのものも多いので、めっちゃ哺乳びん本体のストックも増えまくった。
<漫画・写真&文/青山ゆずこ>
【青山ゆずこ】
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。