第19回で大きく時代が動いた大河ドラマ『光る君へ』。

道長(柄本佑)と軋轢が高まっていた伊周(三浦翔平)。


そんな彼が引き起こしたのが「長徳の変」である。自分が通っている女に別の男がいる、と勘違いした伊周。その通っている男を脅かしてやろうと伊周の弟・隆家(竜星涼)が矢を放つが、その男は花山院だった……。

実は、花山院と伊周が通うのは同じ屋敷に暮らす姉妹で、伊周が裏切られたと思っていたのは誤解だったわけだが……。

そして、この姉妹は藤原斉信(金田哲)の妹。長徳の変では中心人物と言っても過言ではない。


出世欲も強く、「俺は厚かましいのが売りだからな」「道長になったら売り込む」と清々しいほどにはっきりと言っていた斉信。その真意とは、望むものとは。

金田哲さんに、自身が演じる斉信の魅力、こだわりについて聞いた。

斉信は「男性から見てもカッコイイ」

胸元にもみじを滑り込ませるシーンは「ドッキドキでした」はんにゃ.・金田が平安貴族を演じる上で意識していること|大河ドラマ「光る君へ」
NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん
役作りのために藤原斉信について調べていく中で、最初は「スーパーエリートで、僕で大丈夫ですか、とは思いました」と言う金田さん。演じていく中で、さらにどういったところに魅力を感じていったのだろうか。

「いわゆる藤原F4(道長、公任、行成、斉信)の中では一番の感情型。喜怒哀楽がしっかり出ていて、わかりやすいですよね。
好きなものにはとことんだし、出世欲も強くてそれを隠さない。プレイボーイであり、本当に人間味あふれる人だな、と思います。男性から見てもカッコイイ。まっすぐで分かりやすくて、そうでありたいな、という部分もある人です」

脚本の大石静氏とは青年期を演じているころに初めて対面。役についての言葉もかけられた。

「“あなたもうちょっと悪い人になっていくから、そういうふうに思っていてくださいね”と言っていただきました。
そんなところも描いていただけるんだ、と。

大石さんの脚本は、みなさんと一緒に合わせていない段階でもうおもしろくて。恋文でのやり取りとかの、2人がソウルメイトになってく流れ……毎回、視聴者としてもキュンキュンしていますし、さらにドロドロとした政治の怖さや、悪い人たちの描き方も良い意味でたまらない悪さというか」

そんな斉信を演じる中で軸に置いていたのは品格だという。

「やっぱり平安貴族ですから。品格については一番気をつけています。ひとつひとつの所作だったり、言い回し、発言も品格を残さないとって」

気になるF4の関係性は?

『光る君へ』スタート時からたびたび話題になっているのが平安のF4。道長の出世と共に、斉信たちも政の中枢へと身を置くようになるわけだが、4人が集まったときの華やかさかつ、4人ならではのラフさがある。


胸元にもみじを滑り込ませるシーンは「ドッキドキでした」はんにゃ.・金田が平安貴族を演じる上で意識していること|大河ドラマ「光る君へ」
NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん
「4人でいるときは、わりと感情はむき出しですね。特に、公任は幼少期からスーパーエリートで、頭も良くて、歌も楽器もなんでもできる。斉信にとっては憧れでもあり、ライバルでもあり、いつか追い抜きたい存在です。公任と2人でいることが多いんですけど、かなり意識していて闘争心をむき出しにしています。

とはいえ、斉信は4人の中でも一番のおしゃべりでムードメーカー。4人で集まったら喋り出すようなタイプで、そういうところは僕自身と似ているなと。


あの3人には全信頼を置いているし、腹には何もないかもしれないですね。公任にもライバルだとはっきり言っていますし」

一緒のシーンが多いこともあり、コミュニケーションは密にとっているという。もちろん、プライベートでもその関係性はF4に近いものがある。

「佑さんとは食事に行かせていただいたり。プライベートでも常に隣にいようと思っていので、そういう感じで話をしています。公任に対してもそうですし、行成は一歩引いて僕らのことを見てくれている感じもあって、裏でもリアルな感じの関係性になってきていると思います」

もみじのシーンは「ドッキドキでした」

胸元にもみじを滑り込ませるシーンは「ドッキドキでした」はんにゃ.・金田が平安貴族を演じる上で意識していること|大河ドラマ「光る君へ」
NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん
斉信との関係性で気になるとは言えば、ききょう(ファーストサマーウイカ)だ。

第17回でききょうが斉信に向かって放った「深い仲になったからといって、自分の女みたいに言わないで」というセリフはSNSでも話題になったほど。


「ききょうにはもう首ったけなので。視聴者のみなさんからすると、“いつのまに深い仲に!?”という話ですよね。でも斉信のことですから、打毬ぐらいのあとに、かなり歌を送っていたんじゃないかな、と。遊びのつもりだったけど、どっぷりはまってるのは斉信のほうで、清少納言さんにはもう踊らされてます」

そして同じく話題になったのが、第17回で斉信がききょうの胸元にもみじを滑り込ませたシーン。「十二単の間に入れるのが難しくて緊張しました」と言う。

「リハーサルでやったときには全然うまくいかなくて、リハ用のもみじはボロボロになっていました(笑)。本番も難しくて、そのたびにウイカちゃんが“もう気にしないでやっちゃってくださいよ!”ってあの感じのまま言って、雰囲気を作ってくれたんです。冷静に考えれば、小学4年生のときから観てても大河ドラマであんなシーンって見たことなかったんですよね。光栄でもありましたし、余裕なふりをしちゃいましたけど、実はドッキドキでした」と恥ずかしそうに話した。

「自分でも恐ろしかった」長徳の変

どこか飄々としていて、マイペースさも感じさせる斉信。そんな彼が違う表情を見せるのが長徳の変だ。事件の中心にいた人物と言っても過言ではない。

胸元にもみじを滑り込ませるシーンは「ドッキドキでした」はんにゃ.・金田が平安貴族を演じる上で意識していること|大河ドラマ「光る君へ」
NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん
「大石先生がおっしゃっていた悪さは、ここか、と。長徳の変はもちろん、斉信にとっても最初は意図していなかったもので、驚きから入ったんですけど、そこでのアドリブ力というか。出世欲に紐づいたなにか計画性みたいところは、自分でも恐ろしかったですね。焦っているふりをして、すごく冷静な斉信でした」

しかし、それでもF4の3人に対しては騙すようなことはしていない。

「道長には、伊周と隆家はこういうことがあってあの2人はもう終わりだぞ、とチクっていますし、これを機に行ってやろうぜ、道長、という感じでした。道長が上がっていってくれたほうが斉信としてもありがたいというのもありますし、完全に道長側ですね。

出世欲が強くて、プレイボーイではあるんですけど、わりと友情には厚い。裏切ったりもしないですし、本当に4人で上がっていくので」

ここから、また物語が始まる。

<取材・文/ふくだりょうこ>

胸元にもみじを滑り込ませるシーンは「ドッキドキでした」はんにゃ.・金田が平安貴族を演じる上で意識していること|大河ドラマ「光る君へ」
NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


胸元にもみじを滑り込ませるシーンは「ドッキドキでした」はんにゃ.・金田が平安貴族を演じる上で意識していること|大河ドラマ「光る君へ」
NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


大河ドラマ『光る君へ』(C)NHK(以下、同じ)

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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


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NHK『光る君へ』藤原斉信役、金田哲さん


【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ