山頂で突然、ニンニクたっぷりの鍋を作り始めたおじさん。さらに周囲に「食べるだろ?」と当たり前のように押しつけてきたら、あなたならどうしますか?

今回はそんな困ったおじさんに遭遇した女性のエピソードをご紹介しましょう。


秋の訪れを感じながら山歩きへ

厳しい暑さが和らいできたある休日。中川亜佑美さん(仮名・31歳)は、久しぶりに山歩きを楽しむことにしました。

「食べるだろ?」山頂で“ニンニクたっぷり鍋”を配るおじさんに...の画像はこちら >>
「夏の間は暑すぎて、とても山を歩ける感じじゃなかったので。やっと少し涼しくなってきたので『ようやく行ける!』と思ったんです」

心地よい風を感じながら山道を歩き、亜佑美さんは自然を満喫しつつ山頂へ。その見晴らしのよい景色と爽やかな風に、疲れも吹き飛んだといいます。

「山頂に着くと達成感もありとても気持ちよくて『やっぱり山歩きって最高だな』と思いましたね」

亜佑美さんは空いていたベンチに腰を下ろし、持参したおにぎりを取り出したそう。

待ちに待った山頂で、突然始まった大がかりな調理

「すると、少し離れたところにいた50代くらいのおじさんが、大きな荷物をゴソゴソと広げ始めたんです」

男性が取り出したのは、大きな鍋とガスコンロに、包丁とまな板。そしてニラやニンニクなどの食材を、周囲を気にする様子もなく次々と刻み始めました。

「最初は『何を作るんだろう?』くらいに思っていたんですが、鍋を温めはじめた途端、とにかく匂いがすごくて」

「食べるだろ?」山頂で“ニンニクたっぷり鍋”を配るおじさんに困っていたら…女性が放った“容赦ない一言”にスッキリ
秋登山。山頂で匂いの強烈な鍋を作る迷惑客
どうやら男性は、香辛料をたっぷり使った鍋料理を作り始めたようで……。湯気とともに強烈な匂いが山頂一帯に広がったそう。

「せっかく山頂の爽やかな空気を楽しんでいたのに、だんだん鍋の匂いしかしなくなってしまって。せっかくおにぎりを食べているのに、ニンニクの味に思えてウンザリしてしまいました」

周囲の登山者たちも、鼻を押さえたり、少し離れたりと落ち着かない様子。それでも男性はまったく気にすることなく、むしろ自分の料理に満足げな様子だったそう。

「みんなにも」と鍋を振る舞い始める

やがて鍋が完成すると、男性は大きな声で「よーし、できた! スタミナがついて元気が出るぞ! せっかくだしみんなにも振る舞ってやるよ!」と言いました。

そして、近くにいた登山者たちへ「食べるだろ? ほら」と、紙の器に鍋をよそい次々と差し出し始めたのです。


「私は内心『いや、1ミリも欲しくないし』と思ったものの、おじさんを目の前にしてハッキリ断るのも気まずく、どう言い訳しようか迷っていたら……」

「食べるだろ?」山頂で“ニンニクたっぷり鍋”を配るおじさんに困っていたら…女性が放った“容赦ない一言”にスッキリ
アウトドア大好きなアラサー女子
すると、近くに座っていたシュッとした雰囲気の女性が、男性を見上げて「こういうのは居酒屋で食べるので結構です」ときっぱりと言いました。

「山頂の空気を邪魔しないものを」女性の一言に拍手!

さらに女性は、凛とした表情のまま「今は、この爽やかな山頂の空気を邪魔しないものを食べたいので」と続けたそう。

あまりにもストレートな言葉に、亜佑美さんは思わず心の中で「い、言ってくれた!!」と叫びました。

一方、男性は予想外の返答に面食らったのか「人が親切に分けてやるって言ってんのに……」と、気まずそうな表情。

それでも「せっかく作ったんだから食べてくれ」と言わんばかりに、ほかの登山者にも鍋を勧め続けました。しかし誰も受け取ろうとはしません。

誰にも喜ばれず、最後は黙々と自分の鍋を食べることに

結局、男性はしばらくすると急に静かになり、今度は誰にも声をかけず、自分の鍋を黙々と食べ始めたそう。

「私も、別に山で鍋をすること自体が悪いとは思いません。でも、あんなに匂いの強いものを、周りに人がたくさんいる場所で作るのはどうなのかなって。しかも『みんなも当然食べたいだろ? 感謝しろよ』みたいな感じで振る舞おうとしていたので、余計にいい加減にしろよ! と思ってしまいましたね」

せっかくの山頂で、自分の鍋を楽しむだけならまだしも、周囲への配慮もなく強烈な匂いをまき散らした挙げ句「親切だから受け取るのが当然」とばかりに押しつけてきた男性。

とはいえ、女性の一言のおかげで、亜佑美さんのモヤモヤはすっかり晴れたそう。

「せっかく涼しくなって、久しぶりに楽しみにしていた山歩きだったので。あの女性が代わりにズバッと言ってくれて、本当にスッキリしました(笑)」と微笑む亜佑美さんなのでした。


<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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