みなさんこんにちは、ファッションスタイリスト&ライターの角佑宇子(すみゆうこ)です。昨今、若い女性の間ではカーディガンの袖に腕だけを通し、肩をはだけさせた「天女界隈」なる着こなし方が流行しています。
またもや、おかしな……いや新たなファッションが登場していますが、なぜこうした不可思議なコーデが、繰り返し流行するのか。今回は、その理由について解説していきます。

「天女界隈」って一体なに?

「天女界隈」とは、昔話に出てくる羽衣をまとった天女のような着こなしを指すSNS発のトレンドキーワードです。カーディガンは、袖を通すだけで肩は覆いません。二の腕から手元までは、カーディガンでふんわり隠れるので体型カバーにもなるし、その対比によって肩は華奢に見えます。萌え袖のかわいさと肩出しのセクシーさが共存していることから、令和的「モテコーデ」や「あざとファッション」として若い世代に受け入れられているのでしょう。

「ヌキエリ」時代から「天女界隈」へ

だらしない? それともセクシー? カーディガンからあえて肩を...の画像はこちら >>
 こうした、洋服本来の着方とは異なる「着崩しファッション」の流行は、今に始まったことではありません。大人世代のみなさんには、天女界隈よりも2015年前後に流行ったヌキエリコーデのほうがイメージしやすいのではないでしょうか。

 着物の襟抜きのようにシャツの後ろ襟を下に引っ張り、うなじが見えるようにする着崩しスタイルのことです。これも当時、「可愛い!」と絶賛される一方で、「品がない」「だらしない」という批判的な意見も同時に多くありましたね。

 今はそんなヌキエリコーデに代わって天女界隈と呼ばれる着崩し方で、部分的な肌見せを楽しんでいる若者が増えています。しかし、ヌキエリも天女界隈も、筆者の視点からすると、手放しにおすすめできるスタイリングテクニックではありません。

いきすぎた着崩しが流行する理由

 着崩しファッションは、きちんとした装いの一部分だけをラフに着崩すぐらいがちょうど良いバランスです。例えばジャストサイズのシャツをピシッと着ているところに、袖を軽くまくったり、ボタンを1つだけ外したり……など。

 しかし、昨今はトップスもボトムスも、ゆるっとしたシルエットのものが多いため、着崩しスタイルを過剰に取り入れると、途端にだらしなくなってしまいます。
今流行しているファッションスタイルが、そもそも着崩しコーデに向いていません。

だらしない? それともセクシー? カーディガンからあえて肩を出す「天女界隈」が若い女性に流行するワケ
着崩しコーデ
 また、2010年代以降はSNSの普及がより加速化し、ファッション情報も雑誌ではなくSNSから取り入れる人が増えました。これはあくまでも個人的な意見ですが、SNSでファッションをチェックする場合は、全身コーデよりも、上半身のアップで映える着こなしに意識が集中してしまっているように思います。

 スマホの小さな画面では、上半身をアップで写した構図の写真のほうがインパクトを出せるので、コーデ全体を確認せずに直感的に「可愛い!」「こういう着こなししてみたい!」と感じやすいのではないかなと思います。

 こうした背景から、着こなし全体のバランスよりも、SNSで見た雰囲気を重視して着崩しファッションを取り入れる人が増えているのかもしれません。その結果、街中では「だらしない」印象に映ってしまうこともあるのでしょう。

肌見せファッションが主流の時代でもある

 かねてよりお伝えしていますが、現在のファッショントレンド自体、肌見せアイテムが多いことも背景にありますね。天女界隈のように肩を露出させたり、おへそをチラッと見せたりなど。肌の露出そのものへの抵抗感が薄れていることも、「好きな服を着ればいい」という自由な社会通念に基づいたところから来ているのでしょう。

 ですが、それでも着崩しファッションはやりすぎると、一気にダサ見えするのでバランスは非常に大事です。流行を安易に取り入れる前に、コーデ全体の清潔感が失われていないかはしっかりチェックしておく必要がありますね。

<文&イラスト/角佑宇子>

【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。
スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105
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