(雲林 28日 中央社)戦後に中国大陸から移り住んだ軍人やその家族らが暮らした「眷村」の修復が、中部・雲林県で進められている。第1期工事がこのほど終わり、27日にお披露目された。
建物の壁やドア枠、窓枠など構造そのものはなるべく残す形で、細部に修復が施された。県は文化を生かした観光スポットへの転換を目指す方針を示している。

修復が進められているのは、「虎尾建国眷村」。同地は日本統治時代から軍の宿舎とされ、戦後は国民党政権がそばに空軍基地を建設。軍人やその家族が住む集落が「四村」まで形成されたが、残っているのは「三村」まで。うち「一村」と「二村」の修復が行われ、文化部(文化省)からの補助8000万台湾元(約2億7000万円)と県が拠出した2000万元(約6700万円)が投じられた。


修復された建物の中には、レコードやテレビ、ソファなどが置かれ、戦後の家屋内の様子が再現された。張麗善・雲林県長は、歴史の一こまを見ているようだと喜びを示した。

虎尾には日本統治時代に大日本製糖虎尾製糖所(現台湾糖業虎尾製糖工場)が設置され、製糖拠点として栄えた。サトウキビ列車が眷村の近くを現在も走っており、張県長は同列車の旅客輸送を復活させ、日本統治時代から残る「虎尾驛(駅)」や「虎尾鉄橋」などとともに周辺一帯を観光スポットとして発展させたいとの考えを示した。眷村文化や芸術を融合させた特色ある国際芸術村として再生する方針だという。

(葉子綱/編集:楊千慧)