林さんは1933年、中国・上海の租界で生まれた。幼少期は日本の教育を受け、台湾に来て初めて中国語による教育を受けたとされる。台湾大学中国文学科を卒業し大学院に進学。58年から台湾大で教壇に立ち、69年には京都大学人文科学研究所に留学した。
創作活動では70年前後に「京都一年」と呼ばれる散文のシリーズを手掛けた他、数々の文学賞を受賞。作品が中学校や高校の教科書に収録されたこともある。2014年には日本政府による秋の外国人叙勲で旭日中綬章に選ばれた。
筆会は林さんについて、作品は温かみがあり美しく、人柄を表していたとコメント。筆会の秘書長で淡江大学中国文学科の楊宗翰助教は、かつて林さんが「中国文学科で学ぶ人」と題した文章を発表し、当時役に立たないとされていた中国文学科の後輩らに対し、どうするべきかを導き示したなどと語り、中国語による創作モデルの確立に尽力したと振り返った。
(王宝児/編集:齊藤啓介)