台湾では2024年に行われた立法委員選挙で、野党の議席数が与党・民進党を上回り、「ねじれ」が生じている。26日と国民党立法委員7人を対象にした8月23日の投票で解職が成立した場合、当該選挙区で3カ月以内に補欠選挙が実施され、民進党は6席以上を獲得すれば、過半数を確保できる。
▽市民団体関係者、国民党を批判「道理が通っていない」
立法院(国会)周辺で行われた市民団体主催の集会で民進党立法院党団(議員団)の呉思瑤幹事長は「私たちは台湾人であり、台湾は私たちの国。誰も侮ることはできない」と強調。民進党やリコール運動を支持してきた市民らに感謝を述べ、「民進党は完璧ではなく、間違いを起こすかもしれないが、間違いを正し、より良くなるよう努力する」と語った。
リコール運動を主導してきた実業家の曹興誠氏は、中国共産党は台湾の主権を侵犯し、台湾人の人権を奪おうとしていると指摘。また国民党の立法委員は税金を使いながら、われわれを守らずに中国と結託して人権を奪おうとしており、道理が通っていないと批判。投票を通じて「台湾は道理が通る場所であることを国民党に分からせよう」と語気を強めた。
▽蒋台北市長「民主主義と自由守ろう」
国民党は総統府前のケタガラン(凱達格蘭)大道で集会を開催。馬英九(ばえいきゅう)元総統は、民進党が起こした台湾の民主主義を傷つけるリコールに反対し、頼清徳(らいせいとく)総統の売国的な悪事に強く抗議しようと述べた。朱立倫(しゅりつりん)党主席(党首)は、頼総統が仕掛けた政治の茶番を終わらせ、反省させようと呼びかけた。
韓国瑜(かんこくゆ)立法院長(国会議長)は、リコールが成立すれば台湾の民主主義は谷底に落ち、民進党の一党独裁に戻ってしまうと主張。
立法委員在任中に秘書給与詐取などで起訴され停職となり、26日にリコール投票が行われる高虹安(こうこうあん)市長(第2野党・民衆党)は、リコールが成立した場合、補選は行われずに中央政府が後任を指名すると強調。新竹市民の権利を奪うものだとし、民主主義を共に守ろうと語った。
(呉書緯、王揚宇、郭建伸、王承中/編集:齊藤啓介)