ウシジマくん?牛にシマウマのシマ柄を塗ったところ虫除け効果が確認される(日本研究)

Kojima et al. / PLoS ONE
 シマウマにはなぜシマ模様があるのだろう?その理由をめぐっては長いこと科学者の間で様々な仮説が出されていたが、2014年のアメリカの研究で、害虫が寄りつかないようにするための模様であるという説が打ち出され、これが最も有力となった。

 そしてやはりその説は本当だったようだ。


 『PLoS ONE』(10月3日付)に掲載された研究によると、牛にシマウマのペインティングを施したところ、サシバエなどの吸血虫に刺される回数が半減したという。
【牛を狙う吸血害虫】

 家畜牛に群がるサシバエは、ただブンブンと飛び回るだけでなくチクっと刺して血を吸う。刺されると牛だって痛いしかゆい。

 そのせいで牛は食欲が落ち、なかなか寝付けなくなってしまう。さらにサシバエがいると牛は一ヶ所にまとまろうとするために、それがストレスや怪我の原因にもなる。

 これによる損害は、たとえばアメリカなら年に2200億円相当にものぼるそうだ。


【牛にシマウマのシマ模様を塗る実験】

 愛知県農業総合試験場の研究グループは、その打開策を考案するべく、意外にもシマウマの知恵を借りてみることにした。

 シマウマの特徴的なシマ模様の役割についてはかねてから研究が重ねられてきたが、最近では昆虫の動きを感知する機能を混乱させることで、虫除け効果があるのではという見解が有力になりつつある。

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 兒嶋朋貴氏らによる実験では、ウシの黒毛和種6頭に白と黒のシマ模様を描き、3日間、高解像度カメラで定期的にウシにたかった虫の数を数え、さらに牛がハエを追い払う仕草(尻尾をふる、足をばバタつかせる、皮膚をピクつかせる)をしていないかどうかを観察。

 これに加えて、黒のシマ柄で塗ったウシと何もペイントしなかった牛の様子も観察した。

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(a)白の塗料でシマウマ柄にした牛、(b)黒の塗料でシマ柄を塗った牛、(c)何も塗らない牛
Kojima et al. / PLoS ONE
【シマウマ柄の牛に虫除け効果】

 その効果は目覚しかった。しま模様にした牛にたかるバエの数は、何も塗らなかった牛や黒く塗った牛の半分以下でしかなかったのだ。
 

 また、シマウマ模様の牛がハエを払う仕草はおよそ20%少なく、それだけ鬱陶しいハエの影響を受けなかったらしいことが窺えた。

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Kojima et al. / PLoS ONE
 一般にサシバエの対策には殺虫剤が用いられているが、シマ模様のペイントなら有害な化学物質を使う必要がなく健康的であり、安く、しかも環境にも優しいと研究グループは説明している。

 今後は牛にシマウマ模様を施したウシジマくん仕様の牛がいる牧場の風景が当たり前の世界になっているかもしれない。

References:Painting 'Zebra Stripes' on Cows Wards Off Biting Flies | RealClearScience/ written by hiroching / edited by parumo

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