座りっぱなしの生活はうつや不安を感じやすいことが明らかに
 コロナ禍によるロックダウンは、意外なところにも影響していたようだ。座っている時間が長くなったおかげで、人々のメンタルを悪化させているようなのだ。


 20年4月から5月にかけて、座りっぱなしの生活を送っていた人は、うつや不安を感じる可能性が高かったと、アメリカの研究グループが『Frontiers in Psychiatry』(21年10月1日付)で報告している。

新型コロナの影響で運動量が3分の1減少、メンタルヘルスに影響 アメリカ、アイオワ州立大学のジェイコブ・メイヤー助教は、全米50州の3000人以上を対象に、コロナ禍による生活の変化についてアンケート調査を実施した。

 その結果、ロックダウンが導入された直後に、運動量が平均32%減少していることが明らかになった。

 だが、問題はそれだけではない。運動量の減少は、うつ・不安感・孤独感にもつながっていたのだ。

 運動量やスマホなどの画面を見つめる時間は、メンタルヘルスにも影響があることは以前から知られていた。
しかし「今回のような大規模な調査は、これまでに例がありません」と、メイヤー助教は説明する。photo by Pixabay

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座りっぱなしは精神状態の回復を鈍らせる メイヤー助教は、その後の状況を確かめるために、さらに追跡調査を行っている。

 するとその後8週間で、全体的にメンタルが回復していることがわかった。ロックダウン生活に人々が慣れたからだ。

 ところが、長時間座っている人はそうではなかった。ほかの人たちに比べて回復が鈍かったのだ。


 座りっぱなしの生活とメンタルヘルスには”関連性”があるようだ。ただし、これは長時間座っているとうつ病になるという意味ではない。

 座りっぱなしがうつの引き金になっている可能性はある。

 だが、うつ病の人ほど座りっぱなしの生活を送りがちであるとも考えられる。あるいは、今回の研究で見落とされている要因もあるかもしれない。

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コロナ禍による生活の変化を意識し、体を動かす工夫を いずれにせよ、こうした結果を受け、メイヤー助教は、その変化を意識することが大切だと述べている。
コロナ禍でのちょっとした生活の変化を意識して、そのメリットとデメリットを把握することが、コロナ禍の生活を考えるうえで大切です
 新しく何かを始めるのは、それなりに大変なことだ。それでも、少しでも体を動かすと心身にプラスの影響があることを知って欲しいと、メイヤー助教は言う。

 また、どうしても長時間座らねばならない場合は、時々休憩をとるようメイヤー助教は勧めている。
オンライン会議のために廊下を移動する必要がなくなったとしても、ズームを使う前後で軽く歩けば、座りっぱなしを中断できますよ
 自宅で仕事をしている人は、コロナ禍前の生活を思い出して、それに近づける工夫をしてみると良さそうだ。

References:Sitting more linked to increased feelings of depression, anxiety -- ScienceDaily / written by hiroching / edited by parumo

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