image credit:Sothebys
独特な口髭をたくわえたスペインのアーティスト「サルバドール・ダリ」は、間違いなく世界一シュールなスーパースターだ。彼の芸術と哲学は、アーティストが己の心の奥底にあるものを表現する方法に大きな影響を与えてきた。
全盛期のダリは、時間、記憶、夢、予測不可能なものの組み立てに興味を抱き、自然のモチーフを取り入れ、カトラリーセットを作り上げた。
ゾウのフォーク、カタツムリのナイフ、木の葉のナイフ、アーティチョークのスプーン、魚の形をしたフォークなど、想像力の豊かさを存分に生かして、無機質な日用品にユニークな方法で生物の命を吹き込んだのだ。
ダリがカトラリーに生命を与える 1957年にダリが製作したこのカトラリーセットは、2012年に2万8125ドル(430万円)で落札された。これらは自然からインスピレーションを得て完成された作品だ。
ゾウのフォークは、2枚の葉の上に3本の尖った突起がついていて、その突起のすぐ後ろにゾウの頭があってふたつの赤い目と翼のような耳があるのがわかる。
カタツムリのナイフは、この無脊椎動物を表す曲線が、彼らが本当に生きているかのように見える一種逆説的な状況を醸し出している。
ダリにとって、カタツムリの柔らかな体と外側の硬い殻は魅力的なパラドックスであり、視覚芸術的なこのナイフもそうした彼独自のインスピレーションの探求の末にできあがったものだ。
このカトラリーセットは動物だけでなく、植物の葉の形や質感からもインスピレーションを得ているが、一見そうはとはわからないものに変形されている。
[画像を見る]
ふたつのアーティチョークのスプーンをよく見ると、大きさが違うが楕円形のスプーンヘッドはギザギザになっていて、有機物であるアーティチョークの葉を表していて、明るいブルー、イエロー、グリーンの縞が入った深紫が深みを与えている。
魚のフォークは、つるのようにねじれた4本の突起が突き出ていて、鱗、ヒレ、目、尾がついているのがわかり、まるでこの魚が目の前を泳ぎ去っていくかのようだ。
シュールレアリスムの作品の核は、心理学的、生物的な形態、夢の断片と関係している。
いかようにも解釈できる夢の多面的な曖昧さが、ダリのような芸術家に好奇心の力を追い求めるよう促した。
彼はシュールレアリスムの基本要素を取り入れつつ、その過程でさまざまな感覚を活性化させたのだ。
ダリは、異なる素材を使ってカトラリーセットを作った。目で見る限りでは、これらが金でできているのがわかるだけだが、ダリは銀を金で覆うシルバーギルトのプロセスを活用した
デザインの独創性を高めるため、異なる補助材料や生地を使った。例えば、魚の目にはサファイア、ゾウの目にはルビー、カタツムリのナイフは水晶で飾り、まるで生きているかのように見せた。ダリはこうした素材を組み合わせて、高級料理とありふれた自然を並べてみせたのだ。
[画像を見る]
image credit:sothebysダリの挑戦 同じコンセプトから、ダリは1973年に出版した料理本『ガラの晩餐』でシュールレアリスムと料理の関係を探求した。
この書物でダリは潜在意識を表現する方法として書き言葉を使った。
1000年前の卵、ウズラ、タフィーなどおよそ考えられない食材と裏庭に落ちている松ぼっくりのような平凡なものを組み合わせた136ものレシピが掲載されている。
[画像を見る]
Dali. Die Diners mit Gala / amazon
ダリは読者を極めて非現実的な世界への旅にいざなったが、こうした芸術スタイルのナンセンスさはどこか好奇心をそそられるものがある。
その奇抜な想像力は彼の作品の随所に見られ、とくに1957年のこのカトラリーセットは顕著だ。
多彩な才能をもつこの改革者は、これまでの歴史の中で型にはめられてきた創造スタイルの境界に反抗し、それを押し広げようとした。[画像を見る] ダリは、見る者の触覚と視覚を活性化させ、これら銀食器を実際に使ったらどうなるかを豊かに想像させる多様な感覚や視覚的な物語を情報として提供した。
自然界からインスピレーションを得て、なにげない日用品の従来通りの使い方に挑戦したのだ。
彼の有名な作品「記憶の固執」や「象」とはまたひと味違うこの銀食器は、独創的な方法でシュールレアリストの実践に息吹をもたらしている。
ダリはシュールレアリスムの気まぐれや日常生活のナンセンスを取り入れながら、自分の創造力を自由奔放にほとばしらせているのだ。
追記(2024/05/06)文章の誤字を訂正して再送します。
References:Imaginative Intricacies of Salvador Dali's 1957 Surrealist Design / Salvador Dali's Surreal Cutlery Set from 1957 | Open Culture / written by konohazuku / edited by / parumo
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独特な口髭をたくわえたスペインのアーティスト「サルバドール・ダリ」は、間違いなく世界一シュールなスーパースターだ。彼の芸術と哲学は、アーティストが己の心の奥底にあるものを表現する方法に大きな影響を与えてきた。
全盛期のダリは、時間、記憶、夢、予測不可能なものの組み立てに興味を抱き、自然のモチーフを取り入れ、カトラリーセットを作り上げた。
ゾウのフォーク、カタツムリのナイフ、木の葉のナイフ、アーティチョークのスプーン、魚の形をしたフォークなど、想像力の豊かさを存分に生かして、無機質な日用品にユニークな方法で生物の命を吹き込んだのだ。
ダリがカトラリーに生命を与える 1957年にダリが製作したこのカトラリーセットは、2012年に2万8125ドル(430万円)で落札された。これらは自然からインスピレーションを得て完成された作品だ。
ゾウのフォークは、2枚の葉の上に3本の尖った突起がついていて、その突起のすぐ後ろにゾウの頭があってふたつの赤い目と翼のような耳があるのがわかる。
カタツムリのナイフは、この無脊椎動物を表す曲線が、彼らが本当に生きているかのように見える一種逆説的な状況を醸し出している。
ダリにとって、カタツムリの柔らかな体と外側の硬い殻は魅力的なパラドックスであり、視覚芸術的なこのナイフもそうした彼独自のインスピレーションの探求の末にできあがったものだ。
このカトラリーセットは動物だけでなく、植物の葉の形や質感からもインスピレーションを得ているが、一見そうはとはわからないものに変形されている。
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ふたつのアーティチョークのスプーンをよく見ると、大きさが違うが楕円形のスプーンヘッドはギザギザになっていて、有機物であるアーティチョークの葉を表していて、明るいブルー、イエロー、グリーンの縞が入った深紫が深みを与えている。
魚のフォークは、つるのようにねじれた4本の突起が突き出ていて、鱗、ヒレ、目、尾がついているのがわかり、まるでこの魚が目の前を泳ぎ去っていくかのようだ。
シュールレアリスムの作品の核は、心理学的、生物的な形態、夢の断片と関係している。
いかようにも解釈できる夢の多面的な曖昧さが、ダリのような芸術家に好奇心の力を追い求めるよう促した。
彼はシュールレアリスムの基本要素を取り入れつつ、その過程でさまざまな感覚を活性化させたのだ。
ダリは、異なる素材を使ってカトラリーセットを作った。目で見る限りでは、これらが金でできているのがわかるだけだが、ダリは銀を金で覆うシルバーギルトのプロセスを活用した
デザインの独創性を高めるため、異なる補助材料や生地を使った。例えば、魚の目にはサファイア、ゾウの目にはルビー、カタツムリのナイフは水晶で飾り、まるで生きているかのように見せた。ダリはこうした素材を組み合わせて、高級料理とありふれた自然を並べてみせたのだ。
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image credit:sothebysダリの挑戦 同じコンセプトから、ダリは1973年に出版した料理本『ガラの晩餐』でシュールレアリスムと料理の関係を探求した。
この書物でダリは潜在意識を表現する方法として書き言葉を使った。
1000年前の卵、ウズラ、タフィーなどおよそ考えられない食材と裏庭に落ちている松ぼっくりのような平凡なものを組み合わせた136ものレシピが掲載されている。
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Dali. Die Diners mit Gala / amazon
ダリは読者を極めて非現実的な世界への旅にいざなったが、こうした芸術スタイルのナンセンスさはどこか好奇心をそそられるものがある。
その奇抜な想像力は彼の作品の随所に見られ、とくに1957年のこのカトラリーセットは顕著だ。
多彩な才能をもつこの改革者は、これまでの歴史の中で型にはめられてきた創造スタイルの境界に反抗し、それを押し広げようとした。[画像を見る] ダリは、見る者の触覚と視覚を活性化させ、これら銀食器を実際に使ったらどうなるかを豊かに想像させる多様な感覚や視覚的な物語を情報として提供した。
自然界からインスピレーションを得て、なにげない日用品の従来通りの使い方に挑戦したのだ。
彼の有名な作品「記憶の固執」や「象」とはまたひと味違うこの銀食器は、独創的な方法でシュールレアリストの実践に息吹をもたらしている。
ダリはシュールレアリスムの気まぐれや日常生活のナンセンスを取り入れながら、自分の創造力を自由奔放にほとばしらせているのだ。
追記(2024/05/06)文章の誤字を訂正して再送します。
References:Imaginative Intricacies of Salvador Dali's 1957 Surrealist Design / Salvador Dali's Surreal Cutlery Set from 1957 | Open Culture / written by konohazuku / edited by / parumo
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