次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンド、MyGO!!!!!。彼女たちの“迷うことを迷わない”物語を描く新作アニメーション『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』が、この夏、ついに開幕した。


リスアニ!では、そんなアニメの魅力を音楽面を軸に掘り下げる連載特集を展開。連載第1回となる今回は、MyGO!!!!!のボーカル・高松 燈役を演じる羊宮妃那、ベースの長崎そよ役を務める小日向美香、ドラムの椎名立希役を担当する林 鼓子に集まってもらい、現在放送中の第4話までの話題を中心に、アニメのOPテーマ「壱雫空(ひとしずく)」、EDテーマ「栞」、そして彼女たちが演じる3人のキャラクターがかつて結成していたバンド・CRYCHICの楽曲「春日影」について大いに語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

燈・そよ・立希、各キャストの視点から語る第4話までの“迷子たち”
――ついにアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』の放送がスタートしました。今の心境、ファンの反応・反響を受けての感想をお聞かせください。

小日向美香 まず、私自身はアニメに出演することが初めてなので、それをようやくお届けできたことが嬉しくて、すごく感慨深い気持ちで……気を抜くと今も泣きそうになります(笑)。

林 鼓子 私もまずは安心感が強くて。
最初の頃はキャストの名前を明かさずに活動していて、コロナの影響もあって「どうなっていくんだろうなあ」っていう気持ちがあったんですよね。顔出ししたのは4th LIVE(2023年4月9日開催の“MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」”)からでしたけど、アニメでよりたくさんの方にMyGO!!!!!がどういうバンドなのかを見てもらえるので、「ようやく動き出した!」っていう気持ちですね。

羊宮妃那 私……実は、MyGO!!!!!が始動した日に、皆さんの反応を見て、色々感じたことをメモに書き留めていたんです。

――(高松)燈のノートみたいじゃないですか。

羊宮 アニメの放送が始まった日、それを改めて見返したときに、「こうなると嬉しいね、燈ちゃん、一緒に頑張っていこうね」と思っていたことが、徐々に実現して、皆さんとともに見える景色が広がっていることが嬉しくて。アニメの感動ももちろんですが、皆さんありきでまた1つ感動が生まれた瞬間でした。


小日向 放送が終わった後の皆さんの感想を見ていると、私が「こういう想いを込めて演じられたらいいな」と思っていたことを、汲み取ってくださっている方が結構いらっしゃって。

 私も(視聴者の反応を)見ていて、(長崎)そよに対するコメントに「おっ!」って思うのがあった!ネタバレになっちゃうので詳しくは言えないんですけど(笑)。

小日向 そう!アフレコのときは、まだ不安な気持ちもあったんですけど、そよちゃんの抱えている想いに気づいていらっしゃる方がいて嬉しかったです。

 私は(椎名)立希みたいな役を演じるのが初めてだったので、ファンの方からは「えっ!?何度聞いても林じゃない!」という反応が多くて(笑)。それだけ私が立希になれていたということだと思うので、すごく嬉しい反応でした。立希は第4話までだとツンツンなところしか見せていないので、みんなを怯えさせてしまったかもしれないですが(笑)、すごく人情深い、良くも悪くも自分の感情に真っ直ぐで熱すぎる子なので、この先、そういうところが皆さんに伝わればと思っています。


羊宮 私は燈ちゃんを演じるうえで、演技と同じくらい歌も、バックボーンを突き詰めて向き合っているので、OPテーマもEDテーマも、そして第3話に登場した「春日影」も、歌い方から込める気持ちまで、すべてが意図したものになるよう、燈ちゃんの歌になるよう、心掛けています。

――第4話までを振り返って、皆さんが印象に残っているシーンやエピソードを挙げるとすれば?

 私は第4話の「……誓う、燈とだったら一生でもいい」というセリフが印象に残っています。アニメ放送前から印象的に使われている、燈ちゃんの「一生、バンドしてくれる?」というセリフに対する立希のアンサーなので、アフレコでもすごく大事に演じました。あのシーンでは立希が(燈に対する)特大感情を発揮しているんですけど(笑)、その感情を単純に「好き」でまとめるのは立希に申し訳ないと思っていて。尊敬している気持ちもあるし、きっと守りたい気持ちもあるだろうし……そういう色んな感情が一緒になってのあの態度なので、バンドをやるうえでの覚悟が普通とは違うんですよね。「燈とバンドをやるためには、私は全部を捧げる」っていう人だと思うので(笑)。
そういう重みが出ればいいなと思いました。

羊宮 本当にそう思う!一緒にアフレコしたとき、温かさと熱意がすごく伝わってきて。普通であれば、私もそれに応えて演じるべきなんだけど、燈ちゃんはCRYCHICの件もあってか、立希ちゃんのことをまだ……。

 ちょっと距離があるんだよね。だって第1話では避けられたもん!(笑)。燈ちゃんは立希が怒っていると思っているんだろうね、きっと。
だから掛け合いが難しくて。燈ちゃんは「えっ……立希ちゃんは何でこう言ってくれるんだろう」って一回考えちゃうんですよ。だから立希が期待したようなレスポンスが返ってこなくて。

羊宮 そう!掛け合えてないんだよね(笑)。燈ちゃんを演じるうえで、すべてを受け止めるときには、ちゃんとそういうバックボーンがないとダメなので、ある意味、難しいシーンでした。

小日向 私も第4話はみんなが前に進み出すし、それぞれのキャラクターが立ってくるところが好きなんですけど、一番印象に残っているのは、CRYCHICの過去が描かれる第3話です。
みんなの居場所になっていたものが一気に崩壊していくところを、1話の中で全部表現するのがすごく大変で。みんな幸せな感情から、最後のどん底の感情までを、一息にアフレコで描かないといけなかったので。

 あそこは言うなればMyGO!!!!!の「エピソードゼロ」だからね(笑)。立希がなぜ燈ちゃんのことを気にかけるようになったのかもわかるし、第3話を何回も見返すことで、そよの抱えているものもわかると思うし。

小日向 うんうん。燈ちゃんも、自分がノートに書いていたものを肯定してもらえて、前に進むきっかけになっただろうし。

羊宮 そう……!

 私は燈ちゃん視点で描かれる「春日影」のライブシーンがすごくグッときました。メンバーみんなをグルッと見回して……しかもあんなにも否定的だった立希が笑顔を返すんですよね。(豊川)祥子は、「いいですわよ、燈」みたいな感じだし。

羊宮 そう!(燈が)手を差し伸べたときに、「うん」ってうなずくんだよね!

小日向 わかる!私、今朝も電車の中でYouTubeに上がっている「春日影」の動画を観ながら泣きそうになった(笑)。



――羊宮さんが印象に残っているシーンは?

羊宮 全部なので絞るのが難しいですけど……幸せになれたという意味では、(第3話の)CRYCHICのみんなでカラオケに行ってわちゃわちゃするシーンは、第4話までのなかで一番落ち着いて観ることができました。

――燈は第1話でも(千早)愛音に連れられてカラオケに行きますけど、カラオケでは毎回必ずマラカスを持ちますよね。

 それについては1つ考察があって。燈ちゃんはCRYCHICのみんなとカラオケに行ったのが初カラオケだったので、多分、そのときに祥子から「燈、これ持ってみなさいよ」みたいなことを言われて、「カラオケはマラカスを持つもの」というイメージになったんだと思う。

小日向 そっか!でも、かわいいけど、なんかつらいね……。

羊宮 私もそう考えるとすごくつらくて……。

 燈ちゃんからすると、カラオケは祥子の印象が強いだろうから、愛音に連れていかれたときも、ああいう反応になっていたんだと思う。

羊宮 だよね!だって、愛音ちゃんに連れていかれたとき、ドリンクバーのほうをサッと見るんだよ。

 燈ちゃんは自分の気持ちを上手く出せないから。愛音も面白いキャラクターだよね。ただの明るい子ではなく、あんなにも打算的に動いているんだと思って。

小日向 アフレコを経て、愛音ちゃんの印象が一番変わったかも。

羊宮 第4話で、燈ちゃんが愛音ちゃんに対して「ありがとう」と言うシーンがあって。燈ちゃんの中でも愛音ちゃんは特別な存在に変わりつつあるのかなと思いました。少しずつ心を開いて、もう一回何かを信じてもいいんじゃないかって。


「春日影」が照らし出すかつての温かな景色、バンド活動の原風景
――ここからはアニメに登場する楽曲の印象について詳しくお聞かせください。先ほど話題に上がった「春日影」は、燈・そよ・立希がかつて結成していたバンド・CRYCHICの楽曲として、第3話で披露されました。

小日向 「春日影」はアニメのアフレコが始まる前にレコーディングしたので、正直、CRYCHICのことをまだうまく掴みきれていなかった部分があったんですけど、完成した楽曲を聴いたときに、CRYCHICがみんなの居場所になっていたことが伝わってきて、あまりにも感動して大号泣してしまったんです。それくらい温かかったんですよ。特に燈ちゃんの歌声。その歌声から幸せな気持ちが伝わってきて。

羊宮 嬉しい……!

 私も「温かい」というのが最初の印象でした。タイトルも陽だまりを連想させるようなものですし。あとは3拍子の曲だったので、そこからもCRYCHICの方向性が伝わってきて、クラシックミュージック的な要素が入ってくるバンドなのかなと思いました。コーラスのレコーディングも楽しかったです。“せつなくて いとおしい”“しあわせで くるおしい”という歌詞がめちゃくちゃ良くて。

小日向 だよね!

 燈ちゃんにとってのCRYCHICは、そういう場所なんだろうなと思いました。一緒にいると温かすぎてむず痒いときってあるじゃないですか。仲が良すぎて、それが逆に恥ずかしいみたいな。きっと立希にとっても、みんなは友達と呼べる存在だったのかなって。

羊宮 まず祥子ちゃんが「人間になりたいうた」(第3話挿入歌)という楽曲を作ってくれましたけど、あれは燈ちゃんがノートに書き出していた言葉を繋げてくれた歌で、どちらかというと「なんで自分はこうなんだろう」という暗い気持ち、自分だけの世界の言葉が多かったのに対して、「春日影」は“きらりきらり”のように明るい言葉が多くて、誰かを通じて感じることの増えた世界が描かれていると思うんです。“あの日泣けなかった僕を 光は やさしく連れ立つよ”はCRYCHICそのものに伝えている気がしますし、“どうかこのまま 離さないでいて”という言葉からも、燈ちゃんにとっての居場所の大切さをすごく感じて。私もレコーディングの時点で細かいストーリーまでは知らされていなかったのですが、すり合わせをさせていただく中で「CRYCHICの楽曲」であること、燈ちゃんがまだ歌いなれていない状態であること、なおかつ感動を与える歌にしたい、と思考をめぐらせていました。

――なかなか難しそうですね。

羊宮 すごく難しかったです。燈ちゃんの心の叫びになるような感情も出しつつ、でも、まだ自分の感情をうまく表現に乗せることができないから、サビでは真っ直ぐ歌うことしかできないし、今のMyGO!!!!!の歌声に繋がるカケラのようなものも意識するようにして。弱くもなく、でも温かさもあり、「歌声の圧」ではなく「心からくる圧」のような強さが感じられるものになってほしい。「春日影」は燈ちゃんにとっての最初の歌になるので、かなり慎重に考えて歌いました。

MyGO!!!!!の新たな代名詞「壱雫空」が強めたバンドとしての絆
――まさに燈の心の内が伝わってくるような歌唱であり、アニメ演出だったと思います。また、アニメのOP・EDテーマはMyGO!!!!!が担当。そのうちOPテーマの「壱雫空」は、アニメ放送に先駆けて、4th LIVEで初披露された楽曲ですが、皆さんはどんな印象をお持ちですか?

小日向 私はオープニングアニメでみんなが笑顔で演奏しているのを見て、MyGO!!!!!として一緒に頑張っている、前を向いていることが伝わってきて、すごく救われた気持ちになりました。アニメは毎回、重たいお話が続くかもしれないですけど、オープニングを観るたびに「早くみんなでMyGO!!!!!を結成して!」って思います(笑)。

 あのオープニングアニメは、現実にいるバンドのMVっぽく作ったというお話を、監督から伺ったことがあって。空模様を気にせず撮っているところも含めて彼女たちの等身大感が感じられるし、それが彼女たちのカラーなんだと思いましたね。今まではMyGO!!!!!といえば「迷星叫」という気持ちがあったけど、きっとここからは「壱雫空」も私たちを代表するような、大切な曲になるんだろうなと思います。

小日向 自分たちが色んなものを経験した曲でもあるもんね。4th LIVEで紗幕が落ちて、私たちが初めて顔を出したときの曲でもあるし、初めてのアニメのOPテーマでもあって。これからもっと大切な曲になると思います。



 先行上映会で、ようちゃんが「アニメを観たうえで今までの楽曲をもう一度聴いてみてください」って言っていたけど、第4話まで観ただけでも、今までの楽曲が全部繋がるよね。

羊宮 そう!「壱雫空」はこんなにも明るくて元気になりそうな楽曲なのに、“もしこの雨が上がっても”というワンフレーズからも、「そうか、これを忘れずに歩いていくんだね」っていう、迷いながらでも進んでいく気持ちを感じ取ることができて。

 CRYCHICがバラバラになったあの日も雨が降っていたもんね。物語とリンクするところがあるし、実際にライブしている私たちにも当てはまるところがあるのがすごくて。“ビニール越しの空から”も紗幕を思い出すよね。

小日向 確かに!

羊宮 MyGO!!!!!の楽曲の歌詞は、知れば知るほど、感じれば感じるほど、本当に色んなものが見えてくると思います。

――羊宮さんはこの楽曲をどのように解釈してレコーディングに臨んだのでしょうか。

羊宮 この曲も塩梅を考えるのがすごく難しかったです。「春日影」くらいの強さで歌うと、みんなの楽器のガツンとくるサウンドに埋もれてしまいますし、OPテーマとしても弱さが際立ってしまうので。でも、第1話の燈ちゃんにも通じるような歌い方にしたかったので、少しだけ力強さもありつつ、何回かレコーディングしながら細かくすり合わせて調整しながら歌いました。

――歌入れのときは、ブロックごとやフレーズごとに調整していくのでしょうか?

羊宮 本当はブロックごとのほうがやりやすいと思うんですけど、私はAメロからサビまでのストーリーが繋がっていたほうが歌いやすい人なので、歌い直すときも通しで歌わせてもらうことが多いです。もちろんCDとしての完成度も必要なので、その意味では編集している部分もあるとは思うのですが。

――なるほど。これはこの楽曲に限らずMyGO!!!!!の楽曲全般に言えることですが、羊宮さんの歌声は感情の起伏が色濃く付いていて、ストーリーが目に見えるような印象があって。それはなるべく通しで歌っていることも関係しているのかもですね。

 普通なら歌を、メロディラインやリズムがある「歌」として捉えるんですけど、ようちゃんはそうではなくて、1つの物語として、というか「燈として歌う」ということを一番に考えていると思うんです。だから最初に聴いたときは不思議に感じて。1つのお芝居みたいな感じで組み立てているので、すごい感性だと思いましたね。

小日向 わかる!OPでもEDでも「春日影」でも、全部同じ燈ちゃんのはずなのに、全部歌声が違うんですよ。感情の違いでの歌い分けいるんだろうなあと思っていたんですけど、「燈ちゃんがまだしっかり声を出せなかったとき」っていう時系列まで考えて歌を組み立てていると知って今、すごく感動しています。

羊宮 嬉しい……!

――一方でこの楽曲はリズム隊のお二人にとって、演奏のハードルがかなり高い楽曲になっていそうですね。

 大変な曲が増えました(笑)。でもメロコア!ロック!って感じなので、叩いていると楽しくて。

羊宮 私のボーカルの先生からは、「あの子のドラムはすごく安定しているから、そこに乗って歌いなさい」とずっと言ってもらっていて。

 嬉しい!「壱雫空」は構成が複雑なんです。基本ツービートですから、叩くのに体力が必要で、休む暇もなく考えないといけない曲ですね。

小日向 (テンポが)速いから、1個飛んだ瞬間にわからなくなりそうだよね。ベースの演奏でも最高難易度の曲で、家で練習するときも、いまだに基礎練習が必要で、ゆっくりのテンポで弾きながらフレーズを確認しています。

羊宮 私は歌うとき、ベースの音とドラムのリズムを聴くようにしていて。これは最近よく感じるんですけど、CD音源の音に合わせてだと歌いづらくなっているんです。ここちゃんの場所によって強弱を付けてくれるドラムと、みかちゃんのベースの寄り添うような安定した響きとかがないと歌いづらくて。

 えー!ダイナミクスを感じ取ってもらっていて、嬉しい!表現できていてよかった。私は吹奏楽部出身で、クラシックピアノの経験もあるので、ダイナミクスには結構気を使っているんです。ロックドラムは基本ラウドですけど、例えばAメロ部分はハイハットの音を少し小さくしたり、ドラムセットをひとつずつ分解するイメージでダイナミクスをつけていき、楽曲を表現できたらと思っています。伝わっていて嬉しい!

羊宮 いや、逆に私のほうが感謝だよ。私もみんなの演奏で感情が乗りやすくなるし、引っ張ってもらったりもするし、熱くなる瞬間がたくさんあって。みんなの音がピタッと重なった瞬間に心がポカッとなるから。

 いやあ、私たち、バンドしてる~!(笑)。きっとグルーヴ感が合っているんだろうね。でも最初の頃に楽器隊がよく言われたのは、「とにかくボーカルを聴きながら演奏しなさい」ということで。

小日向 そうだよね。最初の頃はイヤモニがなかったので、ボーカルをよく聴いて演奏していたところがあって。今はボーカルも聴きつつ、イヤモニのクリックがもう1つの主軸になっているけど。

 あと、私たちは結構アイコンタクトするよね。

羊宮 私もスタジオ練習のとき、みんなのことを鏡で見ながら、「わー、みんな目が合ってる!」って思ってた(笑)。

 練習のときは鏡があるので、鏡越しに目を合わせちゃったりするんですよ。でもそればかりやっていると本番でできなくなるので、練習でも直接目を合わせています(笑)。「私、イケてます?」みたいな感じで。

小日向 イケてる、イケてる。私はサウンドチェックのときからここちゃんのことをすごく見てしまうんですよ。サウンドチェックなんだから音に集中しろっていう話なんですけど(笑)。

 サウンドチェックは大体「迷星叫」を演奏するんですけど、Aメロのところはベースとドラムの手数があまり多くないので、(小日向が)いつもこっちを見てくるんですよ。だから私も「あ、こんにちはー」って。

小日向 「こんにちはー」と思われていた(笑)。

アコースティック編成のEDテーマ「栞」に注いだこだわりと想い
――もう1曲、EDテーマの「栞」はアコースティック編成のゆったりとした楽曲で。先日アコースティック編成のライブで披露されたそうですが、ベースとパーカッションは2番以降に入ってくるので、アニメで流れる1コーラス版だとお二人の出番はないんですよね。

 はい(笑)。でも1番が終わった後に「ふいー」って入っていくので。

小日向 そうそう、「ぶわー」って(笑)。あそこ、めちゃくちゃ緊張するよね。

 この曲はいつものメロコアっぽい曲よりも、燈ちゃんの声が映える曲で、その世界観を壊したくなくて。そういう意味で演奏が難しい曲です。私はこの曲をライブで披露するときはカホンを担当するんですけど、ドラムセットより音数が減るなかでどう雰囲気を作るか、というのが課題ですね。



小日向 私はベース演奏は指弾きで、アコースティック編成のときはフレットレスベースを使うんですけど、エレキベースと同じくらいの強さで弾くと音がアンバランスになってしまうので、力を抜いて、1音1音を大切に、燈ちゃんの繊細な歌声の邪魔をしないように意識して弾いています。でもフレーズがよく動く曲でもあるので、そこで気合いを入れすぎてしまうときがあって。ちゃんとできているといいなあって。

 私、いつも思うけど、ベース上手だよ。

羊宮 また私のボーカルの先生の話になるけど、「フレットレスベースとエレキベースは別楽器だから、それを同時に練習しているなんてすごい」とおっしゃってて。それを聞いたときに、やっぱりみんなすごいんだなあって思ったよ。

小日向 え~嬉しい!私、「栞」はフレットレスベースになるというお話を音楽プロデューサーさんから聞いたときに、その場のノリで「挑戦したいです!」って言ってしまったんです(笑)。ほかの楽曲をアコースティックにアレンジしていただいたものは、フレットレスでも割と弾きやすい譜面になっているんですけど、「栞」は最初からフレットレスベースありきで作られた楽曲なので、プロの方が弾いている音源と同じ譜面になるんです。だからかなり苦戦したんですけど、そう言ってもらえて良かった!

――羊宮さんはこの楽曲を歌うにあたってどのように考えましたか?

羊宮 OPテーマと一緒で、どの時期の燈ちゃんでも歌えるように意識しました。まだ第4話までのことしか話せないので難しいですけど……でも、MVがすごく良くないですか? もちろんエンディングをアニメで毎話聴くたびに燈ちゃん視点で色んな想いが出てくると思いますけど、MVは自分自身や人には言えない悩みを抱えて生きている方々にも寄り添えるものになっている印象があって。“悲しみにすべてを奪われないように 僕は 僕の味方でいようよ”という歌詞もそうですし、それを肯定できなかったとしてもそれはそれで全部“僕”なんだから、っていう。



――優しい曲ですよね。すべてを大丈夫と言ってくれているような。

羊宮 そうなんです。燈ちゃんだけで歌ってしまうと、悲しい気持ちも入れなくてはいけないんですけど、そこが強くなりすぎず、包み込めるように意識して歌いました。(自分の)感情のままに、プラス、燈ちゃんが燈ちゃんを見る目線としても……難しい塩梅ですけど。

“憑依型”か“客観視型”か!? MyGO!!!!!メンバーたちの演技論
――MyGO!!!!!のメンバーはアニメ第4話までの時点でまだ迷走中ですが、みんな迷ってはいるけど、根はいい子なんだろうなというのが伝わってきました。

 ふと見たら隣の席に座っていそうな子たちですよね。だからこそ自分たちと重ねやすいし、重ねることによってより苦しくなってしまう、感情移入しやすいところがあって。みんなで「MyGO!!!!!のメンバーの中で誰と友達になりたい?」という話をするくらいですし。

小日向 そのときは立希ちゃんが人気だったよね。

 立希は心を許したらいい子っぽいから。燈ちゃんポジションに入れたら勝ちっていう(笑)。

羊宮 あっ、じゃあ私は勝てるかな?

 勝てる勝てる!絶対に立希はようちゃんのこと好きだと思う。私は多分最初に嫌われる(笑)。もし現実世界に立希がいたら、一生いじっちゃうと思うから。面白い子だから怒らせたくなっちゃう。きっと愛音ちゃんよりひどいと思う。

羊宮 それはダメだよ(笑)。でもなんだかんだで(青木)ひなちゃんが一番波長が合いそうだなあ。しっかり話し合えるタイプだから信頼しそう。

 気になったから1つ聞いてみたいんだけど、みんな演じるときは、自分と同一人物として捉えているのか、完全に別人として捉えているのか、どっちで捉えている?

小日向 私の場合はそよちゃんがっていうこと?

 そう。(役を)降ろして憑依させるのか、「その子」のことを客観的に演じているのか。

羊宮 それは難しい……!でもその話、すごく本筋な気がする。

 私は自分とはまったく切り離して演じるタイプで、立希に関しても、一度台本を読んで、「立希だったらこう考えるんだろうな」ということを考えながら演じているんだ。それと違って、自分に憑依させている人は、そのキャラが自分になるわけじゃない?みんなはどうなんだろうなと思って。

小日向 憑依しているのかはわからないけど、そよちゃんは共感できるところが多くて。私の場合、台本を読んで「この言葉にはどんな感情が込められているのか」というのを全部書き出して、それをインプットするんですよ。で、アフレコ現場では、演じるとき以外のやり取りもそよちゃんの声をずっと保っていて。

羊宮 そうそう!

小日向 ブースの中ではそよちゃんのままでいよう、という気持ちがあって。それを憑依型と言っていいのかはわからないけど。でも、そよちゃんと気持ちがシンクロしてしまって、ストーリーによって、みんなとの接し方が変化することはあるかも。

 確かに。私はカットがかかったら完全に戻っちゃうから。

――それこそ羊宮さんは、前回のインタビューでも燈にはすごく共感できる部分があるとおっしゃっていましたが。

羊宮 そうなんです。MyGO!!!!!では、最初のときからキャラクターとしてステージに立っていて、しかも私はそういうお仕事が初めてのうえに、バンドのボーカルを務める子そのものを演じるとなると、すべてを捧げないとできないことが多すぎて。気がつけばずっと燈ちゃんのことを考えていて、色んな感情になっていたのもあって……もうわからないんですよね。

小日向 確かに。キャラクターとしてステージに立っていたからね。

羊宮 もちろんお仕事として切り替えなくてはいけない瞬間が必ずあるので、そこは切り替えているし……うーん、意外と難しかった(笑)。

 でもようちゃんは燈ちゃんと混じっている感じがする。それで言うとみかちゃんもそうだけどね。私、MyGO!!!!!メンバーのなでは、燈ちゃんとそよは特に憑依型っぽいと思っている。ライブをやっているときも、「えー!そんなに似ていることある?」って(笑)

小日向 本当に!? 私はオーディションでキャラ資料をもらったときに、それまでお姉さんキャラを演じたことなかったので、絶対に受からないと思っていて。だから「似ている」と言ってもらえるのは嬉しいです。

 最初のテストのときから似ていたけどね。

羊宮 うん!「そよちゃんがいる」って思ったよ!

小日向 ありがとう!

――興味深いお話をありがとうございます。最後に、MyGO!!!!!の行く末が気になっている読者に向けて、第5話以降の見どころをアピールしていただけますでしょうか。

 第5話以降も一筋縄ではいかなくて、「これでまとまるのかな?」と思ったらまた色々起こるし、彼女たちは本当に迷子なんですよね。うろうろしていて、「この子たちは一体どうなるんだ?」って、皆さんも毎話不安になると思います。私たちもアフレコのとき、そうだったので。

小日向 ね!毎回、次の話が気になって仕方なかった(笑)。

 なので皆さんもきっと観ていて苦しくなる瞬間があると思いますが、とにかく彼女たちを温かく見守っていただけたら嬉しいです。

小日向 第4話でようやくMyGO!!!!!が結成されそうなところに差しかかかっていますけど、この先、これまでのお話で感じたかもしれない違和感みたいなものが、だんだん繋がってくると思いますし、私の中では意外な子が意外な成長を見せてくれたりして、キャラクターたちが後半にかけて一気に成長していくんです。まだまだ成長していく彼女たちを引き続き見守っていただければと思います。

羊宮 第4話のラストをご覧になった(要)楽奈ちゃん推しの皆さんは、これからどうなるかドキドキしていると思いますし、燈ちゃんが愛音ちゃんに感謝して、立希ちゃんも色々思いつつも燈ちゃんと向き合うことができて、いよいよみんなで練習することになって。CRYCHICのお話があったなかで、これからMyGO!!!!!が歩んでいく道が見えてくると思うので、ぜひ引き続き観ていただければと思います!

●作品情報
アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』
放送局(※放送時間は編成の都合により変更になる場合がございます)
・TOKYO MX
毎週木曜23:00~23:30

・テレビ愛知
毎週木曜25:30~26:00

・サンテレビ
毎週木曜24:30~25:00

・静岡放送
毎週木曜25:25~25:55

・BS日テレ
毎週木曜24:00~24:30

・AT-X
毎週金曜22:30~23:00
リピート放送:毎週火曜10:30~11:00、 毎週木曜16:30~17:00

・北海道テレビ
初回7月2日(土)#1:26:30~27:00
#2以降:毎週土曜日26:30~27:00

・新潟テレビ21
初回7月6日(木)#1~#3:26:15~27:45
#4以降:毎週木曜日26:15~26:45

・北陸朝日放送
初回7月8日(土)#1:26:30~27:00
#2以降:毎週土曜日26:30~27:00

30分先行配信
ABEMA
毎週木曜22:30~23:00

配信
ABEMA
dアニメストア
U-NEXT
アニメ放題
バンダイチャンネル
Hulu
ニコニコ
ビデオマーケット
music.jp
DMM TV
ふらっと動画
TELASA
J:COMオンデマンド
milplus
スマートパスプレミアム
Amazon Prime Video
FOD
カンテレドーガ

●リリース情報
MyGO!!!!! 3rd Single
「壱雫空」
8月9日発売

【Blu-ray付生産限定盤】

価格:¥7,700(税込)

【通常盤】

価格:¥1,760(税込)

<CD>
1.壱雫空
2.栞
3.焚音打
4.壱雫空 -Instrumental-
5.栞 -Instrumental-
6.焚音打 -Instrumental-

<Blu-ray>
・MyGO!!!!! 3rd LIVE「声を抱えて生きる」

初回生産分限定封入特典
・BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 : MyGO!!!!! 最速先行抽選申込券
・オリジナルキャラクターカード1枚(限定盤イラストver. 全5種) ※Blu-ray付生産限定盤のみ
・オリジナルキャラクターカード1枚(通常盤イラストver. 全5種) ※通常盤のみ

商品詳細はこちら

●ライブ情報
MyGO!!!!! 5th LIVE「迷うことに迷わない」
2023年8月12日(土) 開場17:00/開演18:00(予定)
会場:KT Zepp Yokohama

チケット:VIPエリア:16,500円(税込) 一般エリア:8,250円(税込) 女性限定エリア:8,250円(税込)
※別途ドリンク代が必要です。

※会場チケットはすべて完売となりました。

ライブ・ビューイング イオンシネマ系列全国12館で実施
プレオーダー受付期間:7月13日(木) 20:00 ~ 7月18日(火) 23:59

詳しくはこちら

MyGO!!!!! 6度目の単独ライブが開催決定
BanG Dream! 12th☆LIVE DAY2 : MyGO!!!!!
2023年11月4日(土) 開場17:00/開演18:00(予定)
会場:東京ガーデンシアター
チケット:プレミアムシート:22,000円(税込) 一般指定席:9,900円(税込)
※本公演のチケット最速先行抽選には、8月9日(水)リリース MyGO!!!!! 3rd Single「壱雫空」初回生産分に封入の申込券でご応募いただけます。

詳しくはこちら

Roselia単独ライブ「Farbe」DAY1にMyGO!!!!!のオープニングアクト出演が決定!
Roselia「Farbe」
2023年9月16日(土)、17日(日) 開場17:00/開演18:00(予定)
※MyGO!!!!!の出演は16日(土)のみとなります。
会場:有明アリーナ
チケット:プレミアムシート:22,000円(税込) 一般指定席:9,900円(税込)

詳しくはこちら

関連リンク
アニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』公式サイト
https://anime.bang-dream.com/mygo/