「週刊文春」(文藝春秋)3月12日号が報じた長渕剛と冨永愛の熱愛スクープだが、この記事に関して、週刊誌関係者の間で長渕の "ある側面"が話題になっている。
「週刊文春」は長渕の自宅を連日のように訪れる冨永をキャッチし、2人を深夜1時に直撃。
「デリケートな話でもあるんでね、ちゃんと話したいなあ。立ち話じゃなくて。ちょっと家行くかい? 俺の家に」
そのやりとりの一部始終を報じたのが「文春」の記事だったわけだが、長渕はこの間、声を荒げるわけでもなく、非常に丁寧に記者に接し、説明している。
このソフトな対応に、「なぜ?」という声があがっているのだ。
長渕といえば、コワモテで有名で、以前は気に入らないテレビ局スタッフを暴力リンチしたこともあるし、張り込んでいた週刊誌関係者と暴力沙汰になったのも一度や二度ではない。
長渕も歳をとって丸くなったんだろう、と思うかもしれないが、そんなことはない。実は「文春」から直撃を受ける直前、別の週刊誌相手に、そのコワモテぶりを発揮して、記事をツブしているのだ。
その週刊誌とは、光文社の「女性自身」。先の「文春」の記事にも、雑誌名が伏せられたまま、ある女性誌が張り込みしているのを見つかり、記事をツブされたという話が出てくるが、これは「女性自身」のことなのだ。
実は、冨永の自伝『Ai 愛なんて大っ嫌い』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の出版をきっかけに、長渕と冨永の"関係"が噂になり、いくつかのマスコミが2人を追っていた。
ところが、その後が大変だった。長渕は、「女性自身」が張り込んでいる車を見つけるや、脱兎のごとくかけより、「てめえ、この野郎、何、撮ってやがる」とものすごい調子で怒鳴り始めたのだという。
「記者が応対しようとして車のドアを開けたら、乗り込んできて、延々、すごみ続けたらしい。しかも、『これから会社に連れて行って編集長に会わせろ!』という話になった。ところが、当日は校了日だったため、電話をして、後日、編集長が長渕の家に行くことになった」(週刊誌関係者)
実際、数日後には「女性自身」の編集長が長渕のもとに出向いたのだが、このときも長渕の剣幕はものすごいものだったらしく、編集長は全面謝罪させられ、この記事は掲載されることなくお蔵入りしている。
しかし、だとしたら、そんな長渕がなぜ、「週刊文春」の記者に対しては比較的冷静に対応し、自宅にまで招き入れたのか。
「女性自身」が撮影したのは、単に飲食店から2人が出てきた姿で、男女の仲を決定づけるものではない。一方「週刊文春」が捉えたのは妻・志穂美悦子が入院中の長渕家に2、3時間も滞在した冨永だ。普通に考えれば潰したいのは「週刊文春」の方ではないのか。
「週刊文春」に対しては記者を招き入れ、「女性自身」には激高し記事を潰す。
「『週刊文春』は週刊誌業界では内容や部数ともにナンバーワンをひた走る存在です。長年芸能界、音楽業界にいる長渕もその影響力を当然分かっているでしょう。しかも『週刊文春』は脅しても簡単には記事を潰さない。いや脅されれば逆に何倍になって帰ってくる可能性もある。一方、『女性自身』など女性誌は、裏取引やバーターにもすぐ応じるし、圧力にも弱い。そのへんをわかって、コワモテに出たんじゃないでしょうか」
「女性自身」は徹底的に潰し、「週刊文春」には懐柔した方がいいと判断する。メディア使い分け戦略だったというのである。
たしかに「死ぬ気でやれ」「ぶっ殺す」などと物騒な発言を連発し、コワモテで血の気が多いように受け取られる長渕だが、実は戦略家の側面ももっている。セルフプロデュースにも熱心で、あのコワモテイメージも、計算ずくでつくられているという見方もある。
その一端が垣間見えたのが、昨年夏の「an・an」インタビュー全面改ざん事件だ。同誌で、プロインタビュアーの吉田豪が長渕をインタビューしたのだが、ゲラチェックで、その内容を長渕が書き直してきたのだという。
「長渕さんの発言部分は全面的に書き直してきた。インタビュー自体が意味がないくらいに(笑)。」
しかも、その直し方も驚きだった。インタビューのときは穏やかで淡々としたものだったのに、直しでは、「君なんかも、本気でやんなくっちゃダメだよ」と吉田に喧嘩を売っているようなシーンや「おもしれえ、勝負だ!!」「てめえ、殺すぞ!」といった物騒な台詞を書き加えてきたのだという。
ちなみに、このインタビュー前の撮影では、本格的トレーニングセットを運びこみ、巨大な愛犬と妻・悦子と娘、そして撮影アドバイザーとして冨永を同席させていたらしい。これで文春のいうように、長渕と富永が愛人関係にあったとしたら、妻と愛人の同席。まるで麻原彰晃である。
それは冗談としても、この長渕の教祖化にはかなり計算された側面があるのではないかという人もいる。
「長渕さんはとにかく相手をよく見ている。相手が弱っていると見るや、あの調子でガーッと説教して、一気に信者にしてしまう。でも、相手がそういうタイプじゃないと見るや、距離をとって丁寧に接する」(芸能関係者)
この洞察力がメディアに対しても発揮されたということだろうか。いずれにしても、今回、長渕のメディア対応の使い分けは見事に功を奏した。
世間のイメージとは違う意味で、長渕剛はかなりの凄腕かもしれない。
(林グンマ)